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就職率日本一の極意は?(2011.9.9)

2011年9月9日 福井新聞

大卒者の就職率が低迷を続けるなか、4年連続日本一。極意は?
<福田優学長>
うちは卒業生が年に約1200人。規模が小さい特性を生かして一人一人の学生にきめ細かくフォローしている。携帯メールで求人情報を流し、返信がない学生は訪問したり呼び出したりして面談する。オーダーメードの支援だから、学生が自分の価値観や適正に合った職場を見極められる。早期離職を防ぐ効果もある。そうなると企業にも信用されて、後輩の就職も有利になる。どんどんよい循環が生まれる。
学生の大企業志向と、地元の求人のミスマッチも課題の1つだ。地元の中小企業など140社以上の説明会を開き、実際に企業で仕事を体験する機会をつくると、最初は知名度で企業を選んでいた学生が、「面白い」となる。食わず嫌いをなくすには、大学が仲介することが大切だ。
昨秋、国の大学予算の減額に対し、街頭に立って抗議した
2004年の国立大学法人化以降、大学の運営費交付金は毎年1%ずつ削減。さらに民主党政権の事業仕分けで厳しい判定を受けた。そうなると大学が独自に外部資金を調達しなければならない。例えば工学部は県や企業と組み、リチウム電池や窒化物半導体などの研究開発を進めているが、資金調達は容易ではない。
このままでは地域を支える医師や教員の養成に支障が出る。教職員の地域手当一部凍結などでやりくりしているが、限界がある。減額分を学費値上げで補うには年53万円を80万円まで上げる必要があるが、昨年10月の全学生アンケートでは、世帯年収が500万円以下の学生が34%。地方大学には経済的に豊かではない学生の受け皿としての存在意義もある。安易な値上げはできない。県内の拠点校に大学院生を配置する教職大学院の取り組みや、画像診断を重視した医学教育などオンリーワンの活動を維持するためには予算の充実が急務だ。
福島第一原発の事故から半年。全国最多の商業炉13基がある県の大学として何をする?
長期的には自然エネルギーにシフトしていくのが理想だが、しばらくは原発に頼らざるを得ない。福島第一の事故は科学に対する信頼を大きく傷つけた。その信頼を回復することが大学の大きな使命だと思う。
被災直後から福島に被曝医療の専門家を派遣し、現地で除染作業などにあたっている。福島県知事から依頼され、放射線計測や、メンタルヘルスを含む医療分野などで継続的支援を行うことも決めた。
今年度中に大学附属の国際原子力工学研究所に原子力防災・危機管理研究部門を整備・拡充する。多様な商業炉と高速増殖炉「もんじゅ」がある福井だからこそ、あらゆる事故を想定した研究が可能だからだ。放射線の計測や防護、低線量被曝の基準づくりなどを進めていく。

│ 2011年9月9日 │
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