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福井大が検査薬剤開発 子宮筋腫、肉腫高確率で判別(2011.8.25)

2011年8月25日 福井・毎日・中日・日刊県民福井・産経新聞

30代以降の女性に増える子宮筋腫と悪性度の高い子宮肉腫を陽電子放射断層撮影(PET)を使って高い確率で見分ける方法を、福井大医学部と同大高エネルギー医学研究研究センターが開発した。24日記者会見した同大によると、筋腫と肉腫は判別が難しく、高い確率で画像診断できるのは世界で初めて。研究は米国核医学学会の会議で6月「腫瘍診断部門」の最高賞に選ばれた。
開発したのは同センターの岡沢秀彦教授(49)=生体機能解析学=と、医学部の吉田好雄准教授(51)=婦人科腫瘍学。
吉田准教授によると、筋腫は一般的に子宮を摘出することはなく、ホルモン療法で治療する。一方、肉腫は筋腫に比べて発症数は少ないものの、転移が早く生存率が低いことから摘出が必要になる。
これまで診断には、磁気共鳴画像装置(MRI)や、ブドウ糖似体をベースとする放射性薬剤「FDG」を投与してのPETが利用されてきた。しかしどちらも十分な診断はできず、筋腫であっても「肉腫の可能性が残り手術が必要」と診断されたり、逆に肉腫でも筋腫として治療されることがあったという。
福井大では、まず岡沢教授が女性ホルモンを処理した放射性薬剤「FES」の安定的な製造に成功した。その上で、肉腫になると子宮の細胞が女性ホルモンを受け入れにくくなる特徴に着目。肉腫の子宮にはFESも集積しない点を利用し、筋腫か肉腫かを画像で見分けることができるようにした。
具体的には、MRIとFDG―PETを行った上で肉腫が疑われる患者に対し、FES-PETの検査を実施。これまで24人の患者に対して行った結果、うち22人が正確に診断できたという。この診断法は既に、臨床研究として同大附属病院で県内外の患者に行われ、かかりつけ医の紹介でも受診可能。1ヵ月に6~8人が検査できる。
会見した吉田准教授は「筋腫と肉腫の判断は婦人科医の長年の悩みだった。負担の少ない画像診断法が確立することで、自信を持って治療できることがうれしい。肉腫を早期発見し、一人でも多くの患者を救いたい」と話している。

│ 2011年8月25日 │
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