2011年7月24日 読売新聞
天候や時間帯に左右されない太陽光発電の実用化に向け、福井大大学院の金邉忠准教授(工学研究科)が、宇宙空間で太陽光を効率的にレーザー光に変え、地上に送る装置の研究を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で進めている。装置が完成すれば、地上で受け取った光で発電し、原発1基分にあたる約100万キロ・ワットをまかなえるという。
反射鏡形の装置(縦約200メートル、横約2キロ)を約3万8000キロ上空に飛ばす。金邉准教授は太陽光を吸収・透過しやすい素材を開発。この素材を装置に組み込み、分散している太陽光を〝整″させてレーザー光に変換する。レーザー光は真っすぐな光のため、太陽光よりも強い光を地上に届けられるという。
地上での太陽光発電は、光の差さない夜間に発電できず、雨や曇りだと発電効率が落ちる欠点がある。人工衛星などに太陽電池パネルを搭載し、宇宙空間での発電も行われているが、効率的に光を地上に送る技術が確立されていなかった。
JAXAは2025~30年をめどに試験装置を設置する予定。金邉准教授は「太陽の無尽蔵のエネルギーを活用でき、石油など化石燃料も不要な夢の発電方法。実験を重ねて実用化を目指したい」と話している。