2011年7月9日 日刊県民福井・中日新聞・福井新聞
月面の無人探査機開発などに関する研究で、福井大大学院工学研究科建築建設工学専攻の小林泰三准教授が2011年度文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞しました。宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)の「次期月探査計画」にも携わっている小林准教授は、月の資源利用など本格的な宇宙進出を見据え、「無人探査機などの機会を月に送り込みたい」と新たな夢の実現に意気込んでいます。
評価された研究は「月惑星探査におけるテラメカニクス」で、立命館大博士課程に在籍していた01年度から続けているテーマ。一連の研究で九州大大学院助教時代の09年度には地盤工学会研究奨励賞も受賞しています。
月に堆積している細かい土粒子「レゴリス」を再現した模擬土を、企業や宇宙機構と共同開発。その模擬土と、無人探査機の車輪をイメージした研究用ロボットを用い、低重力状態の月面で探査機がどんな影響を受けるかなども実験。低重力では地盤が緩くなるなどして車輪も沈下しやすく、探査機の走行にはふりなことなどを明らかにしました。
現在も実験用ロボットで無人探査機の開発研究を継続。次期月探査計画のミッション危機候補で、月の表面を掘削して画像などで地盤データを取得する装置の開発も担います。小林准教授は「月面の地盤工学など、新しい研究分野創設を主導していきたい」と意欲をにじませました。