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センター長挨拶

広報センター長 松木 健一

広報センター長 松木 健一

最近、頻繁にSociety5.0(超スマート社会)ということばをよく耳にします。狩猟社会(Society1.0)→農耕社会(Society2.0)→工業社会(Society3.0)→情報社会(Society4.0)というような歴史的経緯をもって説明されると、少しばかりSociety5.0が分かったような気持ちになります。ところがすぐさま、新たな疑問が湧きおこって、「情報社会」と「超スマート社会」とはどこが違うのだろうかなどと迷ったりします。
私たちは「情報社会」になって大量の知識や情報を容易に流通させることができるようになりました。しかし、人が行う能力に限界があります。あふれる情報から必要な情報を見つけて分析することができなかったり、年齢や障害や地域性などによる制約があったりして、実際は、極めて閉じた情報空間で、fake newsであるかどうかの判断もままならぬまま情報に依存した生活しています。
ところが、超スマート社会では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)が実現するのだそうです。しかし、これではさっぱりわかりません。さらに、IoT、Robotics、AI、Big Dataなどを活用する社会だと付言されても、いっこうにイメージが湧いてこないのです。
自動運転車やロボットによる介護、スマホによる健康や家計の管理、さらに、新幹線・飛行機の手配や家電のコントロールまでもが意のままになるなどの例を挙げられると、漸く、うっすらとイメージが浮かんできます。それにしても、自動化した社会は便利かもしれませんが、本当に楽しい社会なのだろうか、偶さか、不安がよぎらないわけでもありません。
さて、そういった社会が到来する中での「広報」とは、何をすることなのでしょうか。社会に広く詳しい情報を発信するのでは、時代遅れであることは間違いありません。だからと言って、一人ひとりの内面に深く立ち入って、要望に応じた情報を的確に分析・判断して提供することや、要望に応じて仮想空間で体験してもらうなどの広報活動は、現段階では不可能に近いです。
まず、できることは双方向的な情報の交わる場を提供する中で、福井大学に関わる情報を創りだしていく広報の在り方ではないでしょうか。もちろん、その中に福井大学自身も加わり、一緒に考え提案していきます。人の喜びは、情報を理解することよりも、人に役立つ情報を産み出すことにあるように思うからです。そのために何をすればよいか、とっくりだけれど、駆け足で考えていきたいと思います。

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