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令和3年度入学式 学長式辞

この度、福井大学学部ならびに大学院に入学された皆さん、誠におめでとうございます。ご入学を心より歓迎するとともに、これまで皆さんを支えてこられたご親族の方等にも、併せてお慶び申し上げます。

さて、皆さんは、昨年度コロナ禍の中、更に大学入試の内容自体も不安定な状況で、大変な受験期間を過ごされたことと思います。同じくコロナで苦労した、みなさんの一年先輩達は、昨年度、5月の連休明けまで、休校、その後、オンライン講義でスタートし、後期からは、3割程度は、対面講義が可能となりました。今年度、皆さんは入学時より、およそ7割は対面講義が可能の予定です。パンデミックについては、先輩方にご辛抱いただいた甲斐があって、本学は、未だにキャンパス内発症者若干名のみの安定した状況が、継続しています。一般には若い人は感染しても軽く済み、大した事はないと思われがちですが、なんといっても新しい病気で、死亡率も合併症の程度も長期的な予後も、はっきりわかっておらず、増殖速度の早い変異型も出現しています。本学はもうしばらく皆さんの健康、生命を最優先で慎重に対応します。その中で、大学ではみなさんにも関わりのある収穫も結構ありました。一つはオンライン、特にオンデマンド講義の充実です。今まで本学では、殆ど行われてなかったのですが、かなり充実しました。高評価の理由としては、オンラインなら、感染する心配がない、繰り返し学べる、時間が自由に使える、質疑応答が通常の対面では苦手な学生でもオンラインでは尋ね易い、などでした。もっと積極的な用い方として、提携校米国ラトガース大学との合同講義、母国で足止め中の留学生へのオンライン講義なども可能となりました。今後も対面、オンライン、お互いの長所を活かしてのハイブリッドな講義を行う予定です。

また授業がスタートしても、一部は対面が制限され、加えて感染のリスクが高いクラブ活動にも、制限が加わり、通常の大学生活に比べ、少し孤独感の多い環境になるかもしれません。実は私も同様の経験をしたことがあります。私の場合、大学時代が、学園闘争の時期にあたり、長期にわたる全学ストライキで、休講が続いたからです。しかし皆さんとの大きな違いは、感染症が原因ではないので、友人関係や食事の相手には特に制限もありませんでした。皆さんは、その点、三密をさけ、適度なディスタンスをとり、黙々と短時間で食事をすることなどが、新しい生活様式として推奨されており、これを守ることが必要です。しかし、これは本来の人間のあり様からすればいかにも不自然であり、仲良く語らい、共に楽しく食事をし、時には大きな声で楽しく語らう生活の復活に向け、コロナが落ち着けば、再チャレンジが必要です。人類の性向に合った新たなポストコロナ時代の「新」新生活様式を作り上げる必要があることを、覚えて置いて下さい。

さて、大学での学びとは何かについて考えてみたいと思います。高校までの学びは、主に最終的には明瞭な正解のある設問があり、自分の既知の知識を駆使して正解にたどり着く作業だったと思います。しかし大学での学びとは、或いはその醍醐味とは、正解があるかないかも定かでない命題が与えられ、それに対し、正解にたどり着こうと解き方探しに奮闘するというイメージです。極端にいえば、「正解はない」、或いは、「正解はあるが今の学問のレベルではたどり着けない」という答案が正解のことも、稀ならず経験されます。困難に満ちた道を、苦労を重ねつつ探索しながら進んでゆくのが学びの道だと言えるでしょう。

ここで、皆さんに、少しばかり福大の将来の夢を語らせてください。本学は、今将来ビジョンを策定中です。時期は高齢化率、18歳人口減の両者が大きな曲がり角を迎える、2040年、今から約20年後であり、皆さんがまさに働き盛りの時の本学です。その時本学の学び手は、学生、外国人留学生、社会人など多様な老若男女であり、目的、方法も異なる形で、思い思いにキャンパスなどで学んでいることでしょう。その頃本学は、我々や皆さんの努力もあり、研究力や、国内外の優れた大学や研究機関とのアクセスの良さから、国内外で存在感ある大学となっているはずです。また地域においては、県内のすべての高等教育機関と協働して、知の拠点としての機能を一層強化して、教育での人材育成や研究でのイノベーションの創出などを地域の方々や関係諸機関と連携して活発に行い、いわゆる地域共創を推進しています。目指すは、国内外から見ての「世界に通じる地方総合大学」という評価です。

一方、地域で存在感を発揮するためには、「社会から頼りにされる、活力ある大学」を目指します。福井の特色を活かした様々な成果を生み出して、それを地元に還元する大学づくりです。皆さんは、福井についてご自分としてのイメージを持っていると思います。面接に備えてその特色を調べた人もあるでしょう。福井の特色をいくつか列挙すると、先日の超小型人工衛星の打ち上げ成功にも垣間みえますが、独創的技術を持った企業が集まっています。また、嶺南には我が国最多の原子力発電所群があり、約20年かけて本格的稼働を目指す新研究炉もこの地に置くことが決定しそれを支える三研究施設の一翼は福井大学です。子どもの高学力、健康長寿でも知られており、全体として幸福度日本一の福井県です。

特に県外の皆さんは、この様な福井県の特色をあまりご存知なかったと思います。ましてやその実績に本学が結構貢献していることもです。例えば、県内で専門職にある人でみると、教員の4割、医師の3割、エンジニアの3割が本学卒業生です。本学は、今述べた本県の特徴を踏まえ、スケール感のある、ひとづくり、ものづくり、ことづくりに励んできました。この姿勢は、地域医療、地域での教育においても変わる事はありません。今後、我々が県内で大きく成長するにはどうすれば良いのでしょう。まず必要なのは、地域に根付いて各領域で創造的なお仕事に従事されている、ステークホルダーと言われる方達とのウィンウィンの連携です。こうした連携を核として、産業のみならず、地域医療、地域教育の拠点となり、魅力ある地域作りの中心となります。それにより、教職員、学生は、本学での働き、学びに自ずとプライドを持ち、いきがいを感じることができると思います。

そのためのミッションについて述べます。まず教育です。私たちは従来、何よりも、高度専門職業人の育成を目指してきました。これからは、皆さんに、それを一歩抜け出た卓越高度専門職業人を目指して欲しく思います。違いは、単なる一芸に秀でたプロフェッショナルでなく、必要に応じて生涯に渡り、自らの基盤の上で多様な専門職を担うことのできる、しなやかさを身につけた、Society5,0の時代を生き抜く人材の育成です。

もう一つは、研究です。皆さんは大学とはまずノーベル賞を目指すかどうかは別として研究のためにあると思っていないでしょうか。実は大学とは、まず学ぶ所なのです。しかし私達の経験では、優れた研究者は優れた教員であることが多いので、あまり区分けすべきではないと思っています。たとえば私は抗がん薬を専門とする内科医です。薬の開発中は主に研究者です。しかしそこに興味を持った大学院生が来て共に研究をするとき、私は教育者でもあります。ついに薬が完成し、使ってみようとなると、それは大学の三番目の使命、社会貢献です。この研究ワールドの雰囲気の中に一度身を置く事は、かけがえのない経験となることでしょう。是非お勧めします。

さて、卓越した人になれ、といきなり言われたりで、大変なところに入学してしまったと思う人があれば、それは誤解です。只今ちょうど、二十年後を目指したビジョンができつつあり、皆さんにも参考迄にご披露しました。在学中は、皆さんの知的好奇心の感じることを大事にして、いろいろな活動に、やるかやらぬか迷う時はやるくらいの気持ちでチャレンジしてください。

結びに、皆さんにとって、かけがえのない大学での時間をどうぞ意義深く使われるよう祈念して、私からの祝辞と致します。

令和3年4月6日
福井大学長   上田孝典

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