昭和61年福井大学工学部建設工学科(原・建築建設工学科)卒業/ゲンキー株式会社 代表取締役社長
藤永賢一さん
私は県外の大学に一度進学しましたが、偏差値重視で本当に行きたい大学ではなかったため、半年で退学。ダムを造りたいという夢をかなえたくて福井大学工学部の建設工学科(現・建築建設工学科)を受験し直しました。卒業後、地元で就職したんですが、ダムをつくるチャンスが得られず退職。しばらくは東京でフリーターをしていましたが、あることがきっかけでチェーンストアに可能性を感じ、福井に戻って「ゲンキー」を創業し、地元福井を中心に出店を重ねています。建築学とドラッグチェーンとは無関係に思えますが、限られたコストで環境にやさしく快適で多店舗展開が可能な店づくりに、大学で学んだ建築の基礎知識が役立っています。また、工学部で学んだことで数字で表現する習慣がついたのも経営者としての強み。「なるべく早く」「まあまあ売れました」といった曖昧な表現を社内では禁止し、「○日の○時までに」「何が何個売れました」と明確に数字で示すことを徹底しています。経営に必要となるのは建築設計と同じく緻密な数字の積み重ね。1ミリ単位、1円単位まで数的根拠に基づいて戦略を構築することでディスカウントを実現し、地域に還元しています。
若い頃は県外に素晴らしい未来があると思いがちですが、成長の場は身近なところにもあると自分自身の経験から実感しています。私自身が遠回りしながらも道を外れずに今日までこれたのも、福井大学で基礎勉強をしっかりしていたから。福井大学は先生と学生の距離が近く、親しみやすい雰囲気なのが大きな特色。リラックスしてキャンパスライフを過ごせたので、高校時代よりも大学の方が学校に行くのが楽しく、いろんなことを学び、吸収できました。大人になっても続く友人関係を築けたのも大学時代の大きな財産ですね。各分野で活躍している専門知識を持つ友人たちは仕事の上でも頼もしい存在です。
アメリカは各州(地方)に世界を代表する優秀な企業が点在し、地域の活性化に大きな役割を果たしています。日本が今後、さらなる成長を遂げるためには、地方のパワーは不可欠です。福井の高校生にも福井の大学で学び、地元を活性化する一翼となってほしいですね。
福井大学の研究を基にした技術相談、知的財産化、企業との共同研究などの産学官連携活動を主に行っています。学生教育では「ものづくり実習」などの実践教育活動のほか、最先端の3次元スキャナー・加工設備・CADなどを用いたものづくり、機械の摩擦・摩耗・潤滑に関する研究を組み合わせた教育を実施。これからのエンジニアとして必要な経営感覚を持ち、地域社会を活性化していくエキスパート人材の育成をしています。
藤永社長とは学科は異なりますが福井大学の同期。クルマ好きという共通点から、卒業後、一緒に自動車レースをする機会があり、炎天下に汗だくになってチームで耐久レースを戦ったのはいい思い出。今でも交流がある大切な友人です。
彼の経営者として活躍の下地には、福井大学で身に付けた「人間力」「創造力」があると感じています。大きく羽ばたくための基礎力を身に付けられる。福井大学はそんな可能性のある大学です。