平成16年度 医学部看護学科卒業/無料健康相談所「みんなの保健室」代表・看護師
内山 絵理さん
2013年7月、福井駅前の商店街に無料の健康相談所「みんなの保健室」を開設し、代表をしています。目的は、地域の誰もが気軽に立ち寄り、健康相談やチェックができる場所を提供すること。病院よりずっと敷居が低い“かかりつけ相談所”のような存在を目指しています。体の健康に限らず、仕事や家族のことなど暮らしの悩みまでお伺いしており、買い物途中の憩いの場所としても利用していただきたいと思っています。
保健室は私を含めた数人の看護師をはじめ、ソーシャルワーカーたちで運営。診察はしていませんが、血圧測定の他、認知症チェックなどの問診なども行います。本人がいらっしゃらなくても家族から状況を聞いて相談にのることもできます。
今後は出張健康相談やワークショップの開催も増やしていきたいです。個人的には、医療の枠を超え、地域の人が安心して暮らせる街づくりにも興味があります。
私が看護師を目指した理由は、難病を抱える祖母を見て、同じように病気で不自由な思いをしている人を助けたいと思ったからです。高校時代、進路に迷い「1日看護体験」で訪問看護ステーションを見学。実際に患者さんのお宅に伺い、家族や生活環境にまで配慮する在宅看護に衝撃を受けました。入学後は、地域医療への思いが一層強くなり、この頃から漠然とですが、患者さんや家族の思いを直接聞ける「地域にとっての“保健室”のような場所をつくりたい」と考えていましたね。
大学時代、思い出に残っている授業は3・4年次の「グループ実習」です。グループは大学側が編成するため、初めて話をするようなメンバーばかり。1年間、実習をする中で信頼関係を築き、チームワークを学びました。卒業後に勤務した県立病院では、チーム医療をしていましたが、医療スタッフとのコミュニケーションの取り方は大学の授業で身につけたことがベースになっていますね。また、オーストラリアでの留学体験も思い出深く、子どものホスピスなどを見学した経験は、医療人としての視野を広げてくれました。
福井大学は先生と学生の心の距離が近く、相談しやすい雰囲気があります。学生の皆さんはそんな環境を大いに活用し、先生と積極的にコミュニケーションをしてほしい。点数による評価などを気にせず、「自分が医療人としてどう成長できるか」を聞いてみてください。将来の指針を見出せるはずです。また、医学科の学生と交流した経験も、医療現場に出た時、医師と信頼関係を築く上できっと役立ちます。
私も「保健室」を始めて、大学時代の恩師にさまざまなことを相談に行っています。卒業後もそんなつながりが持てるのは、福井大学が親身な教育をしているからこそだと思います。