平成14年度教育地域科学部学校教育課程言語教育コース卒業/越前町立城崎小学校 教諭
佐々木 尚美さん
教師になりたいと思ったのは、小学校2年生のころ。担任の先生の姿に憧れ、友達と「先生ごっこ」をしていました。そんな憧れが使命感へと変わったのが、中学3年生の時。保育所から共に過ごしてきた同級生の男の子が、登校を渋るようになったことがきっかけでした。彼は、学校に来ても口を閉ざし、ずっと下を向いていました。こうなったのには何か理由があるはず。私は教師になって、悩みを抱える子どもの気持ちを理解し、辛い時に寄り添い、支えられる存在になりたいと強く思いました。そして、数年後、福井大学の教育地域科学部学校教育課程言語教育コースに入学しました。
大学の講義は奥深く、新しいことを「知る」ことが楽しかったのを覚えています。中でも、国語教育の三好修一郎先生の講義においては、先生の抱負な知識と巧みな話術に感心する日々でした。ゼミの仲間と取り組んだ教材研究では、作品に託された作者の思いや時代背景などを知ることによって、作品がまったく別のものに見えるという体験を何度もしました。三好先生のように、聞き手を引き付ける面白い授業ができたら、授業をしている方も受けている方も楽しいだろうな・・・。三好先生の講義の在り方や姿は、今でも私の目標となっています。
私は今、小学校で1年生10名のクラスの担任をしています。私の目標は「全員が安心して学べる学級」を作ることです。そのために、自己肯定感を高める「パーソナルポートフォリオ」作りに取り組んだり、言葉の影響力を伝えるために「ふわふわ言葉・ちくちく言葉」の指導を継続的に行ったりしています。子どもの気がかりな言動には理由がある。だから、一人ひとりの心の中にあるもの、背景にあるものを見て、それぞれの子どもにその時に必 要な言葉をかけてあげることを心がけています。そして、子どもたちには「みんなはこれから先も一緒に勉強していく仲間。何かあった時には、友達を守っ てあげてほしい」という願いを日々、伝えるようにしています。
今、教師を目指している学生の皆さんには、スポーツやアルバイト、旅行など、さまざまな体験や出会いを通して、多くの感動や達成感を味わってほしいと思います。自分の経験が子どもたちを理解することに役立ち、自分自身の支えにもなると思うからです。