大学院工学研究科 博士前期課程 電気・電子工学専攻 1年
蒲池 渉 さん
電気エネルギーは現在の私たちの日常生活に不可欠な生活基盤です。家電製品、情報機器や自動車などで、電気エネルギーが、電圧、電流の大きさや交流、直流の形態を変えて利用されています。この操作を電力変換と呼びますが、ここで活躍するのがパワー半導体です。パワー半導体には大きな電力を損失なく電力変換できることが求められますが、現実には電流や電圧の大きさに制限があり、変換時に熱などの無駄な損失が発生する問題があります。そこで、本学大学院工学研究科 電気電子工学専攻の葛原正明教授の研究室では、性能限界に近づいているシリコン半導体に代わり、より材料特性に優れた窒化物半導体を用いてパワー半導体の性能向上に向けた研究を行っています。
今回、私が参加した国際会議(IMFEDK 2017)は、米国・電気電子学会が毎年主催する国際学会です。2017年は6月末に京都で開催されました。窒化物半導体デバイスをパワー半導体として実用化するためには、制御電極に電圧を印加しない状態ではトランジスタに電流が流れない特性(ノーマリーオフ動作と呼ぶ)が要求されます。私はこの問題を解決するため、電極直下の半導体厚さを薄くする方法とデバイスに負の電圧を長時間印加する方法を組み合わせる手法を考案し、良好なノーマリーオフ動作を達成しました。この成果により、学生発表賞を受賞しました。
6月は、京都のIMFEDKでの発表に加えて、福井で開催された国際会議(EM-NANO2017)にも参加し、発表資料の準備や発表練習など忙しい日々の連続でした。幸運にも、両方の国際会議において、私は学生発表賞を受賞することができました。ダブル受賞という光栄な結果を得て、現在の研究にやりがいを実感し今後の活動に自信をもつことができました。お忙しい合間を縫って昼夜問わず熱心に指導していただいた先生方とそれを支えてくれた研究室のメンバーに深く感謝します。