アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 材料技術部 電動化材料開発グループ/2015年度 工学部 材料開発工学科 卒業 (現:物質・生命化学科)
生井 美帆 さん
卒業後、出身地の愛知県で就職しました。アイシン・エィ・ダブリュ株式会社は、オートマチックトランスミッション(以下、AT)の専門メーカーです。トランスミッションは「変速機」の意味があり、通称「オートマ」と呼ばれるATは車のギアチェンジを自動で行う変速機を指します。
当社は現在、AT生産累計世界シェア№1の企業として、15カ国50社を超えるお客様に製品を提供しています。2025年の燃費規制強化に向け、新たなHV・EVのコア技術となるモーター、インバーターの新技術・新材料の開発を目的として数年前に誕生したのが「電動化材料開発グループ」で、私は去年の1月に別のグループから異動しました。弊社にはトヨタ自動車が参戦する、世界三大レースのひとつ「ル・マン24時間耐久レース」に出走するレーシングカーに、ハイブリットモーターとインバーターを提供するプロジェクトがあり、私はそこでインバーターの材料設計に携わっています。
インバーターはバッテリーからの直流電流を交流電流に変換する部品で、周波数や電流量を調整してモーターに適切な電流を流すことで、その回転数を制御する役割を果たします。さらに、モーターを壊さないための安全装置としても欠かせない部品です。 配属後、大規模なモーターショーの見学に行くと、当社が駆動系の要となる部品を提供した車に、多くの来場者が憧れの視線を向けている光景を目の当たりにし、誇らしさを感じました。
在学中は、工学部材料開発工学科(現:物質・生命化学科)に在籍し、無機、有機、高分子および環境にかかわる物質の合成や反応を基礎とした機能性物質や材料の開発について学びました。大学の先生はもちろん、企業の第一線で活躍する講師を招いた授業も興味深く、知見を広げることができました。
在学中、同じ学科の友人と「材科女子会」と称しておしゃべりをした時間もいい思い出です。また、アルバイトを通じて磨いたコミュニケーション能力も、ミーティングや上司への対応に役立っています。
就活では、就職支援室(現:キャリア支援室)にほぼ毎日通いました。スタッフの親身なサポートに感謝しています。面接では、金属の塊であるATを、大学で学んだ知識を生かし、高分子材料に置き換えることで、小型軽量化できる可能性をアピールしたこともあり、希望どおりの企業に入社できました。
私は、入社時に機械工学系の知識がほとんどなく、仕事をしながら覚えました。まだまだ勉強中ですが、将来の夢はやはり自分で材料から開発し、設計した部品が製品化されることです。
これから自分の進路を考える皆さんも、学科や専攻にとらわれず、「自分がやってみたいこと」を第一に就職先を選び、夢を実現してほしいと願っています。