福井県立坂井高等学校 教諭/2016年度 大学院教育学研究科学校教育専攻 修了
岸名 孝明 さん
今年の3月に大学院を修了し、坂井高校で国語を教えています。本校は、実業系の高校が合併して誕生した新しい学校です。この夏、全国高校野球選手権大会に出場したことでも話題になりました。私は吹奏楽部の顧問をしているため、準備や打ち合わせなど、とても大変でした。忙しい夏でしたが、多くの方々の協力のおかげで無事終えることができ、貴重な経験となりました。就職して数ヵ月経ちますが、密度の濃い時間を過ごしており、現場で鍛えられていることを実感しています。
本校は農業、工業、商業、家政など専門的な知識を学ぶ総合産業高校で、卒業後は就職する生徒も多くいます。教え方も大学入試を前提とする進学校とは違い、戸惑うことも多いです。まずは授業に興味を持たせることからと、様々な工夫をしています。
教師になりたいと思ったのは高校生の頃です。国語は好きな科目でしたが、いざ人に教えるとなると、どうすればいいのだろうと考えたことが、福井大学に進学したきっかけです。大学では国語教育のゼミに所属し、国語が言語を介した自他との対話という、学習の根幹に関わる科目であることを学びました。現在受け持っている生
徒たちにこれを理解してもらうことは難しいのですが、彼らの生涯にわたる言語生活や学びにおける国語の重要性について、少しでも伝えられたらと思っています。
学部では教科専門を中心に学びましたが、授業のやり方について、もっとしっかり勉強したいと思い、大学院に進学し、授業中、教師が生徒にどう介入、支援すべきかというテーマについて研究しました。学生生活を送るなかで、国語科の先生だけではなく、友人や授業を通じて知り合った多くの先生方から様々な刺激を受けることができました。こうした教科の垣根を越えた関わりが持てることや、幅広く教養を深めることができるのも福井大学の魅力であると思います。
教員採用試験は学部時代に合格できましたが、一人で勉強したわけではなく、出発点から友だちと一緒に勉強していました。一次試験に通ったメンバーが集まり、2週間ぐらい缶詰になってひたすら教育に関する議論を重ねたこともあります。また、学部の有志が集まった「Student ThinkTank〝風人倶楽部〞」の初代メンバーとして、教育実習や教員採用試験の情報をまとめた冊子の発刊にも携わりました。
福井大学は、卒業しても大学に戻って先生や後輩に助けを求めたり、一緒に勉強したりすることが比較的簡単にできます。教員生活を通じて、大学とつながり続けていけるところは、他にはない強みだと思います。現場に出ると忙しく、なかなか自由に学ぶ時間はありません。学生の皆さんには、ぜひ今のうちに、採用試験対策という狭い目的でも良いので、ちょっとした疑問について議論し、自ら学ぶ時間を確保してもらいたいですね。