福井県立高志高等学校 教諭/昭和61年度 教育学部中学校教員養成課程(現 教育地域科学部学校教育課程言語教育コース)卒業
山内 悟さん
スーパーグローバル高校を牽引
高志高校は、文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に福井県で唯一指定され、国際的に活躍するグローバル・リーダーの育成に取り組んでいます。
福井県内の企業が数多くアジアに進出していることなどから、SGHのテーマを「ふくい発、東アジアの発展と希望に貢献するグローバル・リーダーの育成」としました。対象となる生徒の募集を行ったところ、定員以上の生徒が集まりました。どの生徒も、グローバルなステージで学びたい、働きたいという前向きな思いを持っています。このような生徒たちを、大切に伸ばしてあげたいと思います。
SGH独自の授業の一つに「グローバル探究」(総合的な学習の時間)があります。これは、県内外の大学や企業と連携して課題研究に取り組む授業です。内容は理系・文系を問いません。生徒は、外部講師による授業を受け、東アジア地域と共に希望ある社会を構築するにはどうしたらよいかを考え、リサーチした内容をもとにプレゼンテーションします。このような学習を通して、グローバル・リーダーとしての資質や能力を身に付けていきます。
また、英語科の教員として、SGHの学校設定科目である「グローバル英語Ⅰ」を担当しています。この授業では、文法等の学習だけでなく、様々な場面における対話表現の練習や、種々のコミュニケーション活動を行っています。授業は英語で行うことを基本とし、生徒にはペアでの対話や簡単な意見発表など、できるだけ英語を使う場面を与えるようにしています。はじめは緊張して、失敗を恐れていた生徒たちも、このようなスタイルの授業に慣れてきたようです。
いつも母校とつながっている
SGHの英語授業では海外の学習本を使用
福井大学では、故・茨山良夫先生から英語教育法を教えていただきました。先生のコミュニカティブな指導法は日本の英語教育界をリードしてきた考え方で、今も自分の根底にあると思います。
高校の英語教員となってからは、県内の英語教員で組織する「福井県英語研究会」の活動に参加しました。県内中・高生のためのリーディング教材を作成したり、授業改善のための研究を行ったりする中で、日々の授業を振り返り、教材とじっくり向き合うことの大切さを学びました。また、同研究会の先生方(多くが福井大学卒業)と互いの実践について情報交換したり、理想の英語教育について話したりできたことが、私には大きな財産となっています。
平成19年度、勝山高校が文科省のスーパーイングリッシュランゲージハイスクール(SELHi)に指定され、私はその研究主任を務めました。そこで運営指導委員を引き受けてくださったのが、大下邦幸先生(元教育地域科学部教授、現敦賀市立看護大学教授)でした。意見・考えを重視したコミュニカティブ・クラスの実践について、数多くのご指導をいただきました。以来、福井大学で行われている英語教育に関する勉強会にも通っています。
現在は、高志高校SGHのことで、教育地域科学部、大学院工学研究科、語学センター、そして国際交流センターの先生方に多大なご協力をいただいています。このように、今でも母校とつながりがあるのは、本当にうれしい限りです。
今の学生さんは、海外に出かけたり留学したりする機会に恵まれていると思います。大学キャンパスには、海外からの留学生がたくさんいます。このような状況は、私にはとてもうらやましく思えます。目の前にあるチャンスをしっかり掴み、失敗も経験と考え、積極的にチャレンジしてほしいと思います。