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第50回米国機械学会 配管と圧力容器強度に関する国際会議、第24回Rudy Scavuzzo杯争奪学生セッション学士・修士部門 優秀講演賞を受賞

福井大学大学院工学研究科博士前期課程 機械工学専攻 2年

山口 晃弘 さん

原子炉圧力容器やエネルギーを供給するパイプラインなどの構造物は、運転期間中に判別できないほどの小さな、き裂や欠陥が生じていきます。これが経年劣化というもので、このき裂が成長して伝播すると、破断がおき重大な事故を引き起こす危険性があります。

製造時点から長年供用されてきた各種インフラ設備(例えば,原子炉圧力容器)を継続して使用するには,「十分に強度余裕があるはず」で納得するだけではなく、「想定以上に劣化が進んでいない」「定量的にこれだけの強度余裕がある」と示し,人々に「安心」してもらうことが求められます。このため、原子炉圧力容器では運転開始時点に「監視試験片」を入れ、原子炉容器に使用されている材料の劣化や脆化による深刻な破壊を未然に防ぐために定期的に監視試験片を取り出し,強度試験が行われています。

ここでの技術的課題は,長年の運転による監視試験片の物量は限られていること,また小さな監視試験片と大きな構造物の強度差です.例えば,現在広く使用されている材料強度試験規格では,試験片の板厚が4倍になると材料強度が半分に低下する結果が得られます.これに対応し,IAEA(国際原子力機関)は1インチ(25ミリ)の厚みの試験片で圧力容器の脆化を監視するように推奨しています。

本研究では材料の品質が安定している現代においては、大きくても、小さくても材料の実態強度は変わらないのではないかという点に着目し、ミニチュア化を行うことも可能になるのではないかと考えました。厚さ2ミリの試験片と25ミリの試験片で独自に開発した「応力分布スケーリング手法」に当てはめて定量化したところ、両方の試験片の強度に遜色がないことを証明しました。このミニチュア試験を使用する手法は,既存の原子炉圧力容器の高経年化に対して監視試験片の不足を解消する有効な手段として、国際学会で今回表彰を受けました。

飯井教授は、学ぶ立場である学生に対して、物事には「型」があり、「型」を知る、「型」にはまることがあるレベルまでは必要であると指導なさっています。自分の研究がなかなか進まない事もありましたが、飯井教授の熱心な指導により「型」にはまることにより,研究初めの第一歩を踏み出すことができ、その後は順調に研究を進められるようになりました。自由な発想も大切かもしれませんが、学び始めの人にとっては「型」(基礎)を知ることが大切だと思いました。今後の人生においても、この精神を忘れずに過ごしていきたいと思います。

最後に、どんな時でも熱心に指導してくださった飯井教授、日頃から様々な面で支えてくれた研究室のメンバーに深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

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