医学部医学科3年
岩見 有希子さん
岩見有希子さんは1年次に、「第15回司馬遼太郎フェローシップ」に選ばれました。文学以外にも社会の広い分野に生き生きとした好奇心を持ち続け、次代を担う若者たちの知性に、大きな期待と希望を抱いていた作家、司馬遼太郎。その想いを継承し、設立された司馬遼太郎記念財団のフェローシップは、若者の探究心を応援するものです。 岩見さんが探求した研究テーマは、「現代における中国内陸部の生活について」。今や目覚ましい発展を遂げ、世界をリードする中国。岩見さんは、中国語を学んだことをきっかけに中国に興味を持ち始めました。今回友人の出身地である甘粛省蘭州を訪れ、現地での教育の現状やどのような医療が提供されているか、内需拡大政策が進められている中で、生活様式や食生活などに変化があったかなどを調査し、また、同世代の学生との交流も行い、考えや将来の展望などを聞き取り、日本の学生との違いなどを検討したいとしました。 2012年2月18日、司馬遼太郎の命日に合わせて行われている「菜の花忌」において、文芸、学芸、ジャーナリズムの広い分野のなかから、創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させる作品に贈られる「司馬遼太郎賞」とともに贈賞式が行われ、その後2012年中に、現地調査を行った結果をもとに研究テーマについてまとめ、今年(2013年)2月9日に開催された「菜の花忌」シンポジウムで報告を行いました。
私は福井大学入学以前から中国に関心を持ち、中国語を勉強していました。2011年、上海万博を訪れた際に現地のガイドさんから、「あなた達は中国の良い所しか見ていない。」と言われたことがきっかけで、観光旅行ではわからない現地の人々の生活を知りたいと思い、いつか中国の内陸部に行ってみたいと思うようになりました。 その思いは、一年生の夏休みに掲示板で目にした司馬遼太郎フェローシップに応募することで現実となりました。
福井大学で工学を学んでいる留学生の友人、劉さんが協力してくださり、春休みに2週間中国甘粛省にある彼女のご実家に滞在させていただきました。 滞在した2週間は学校、病院などを訪問し、現地の方々と生活を共にしました。その2週間は私にとってかけがえのない日々となり、様々な物を見、多くの出会いがあり、まさに見聞を広げることができました。中国滞在後は「現代における中国内陸部の生活について」という題でレポートを作成しました。
また、今年の2月9日NHKホールで行われた菜の花忌で発表をさせて頂くこともでき、とても良い思い出となりました。
私が司馬遼太郎フェローシップで得たものはとても大きく、計り知れません。このような機会を与えてくださった司馬遼太郎記念財団の方々を始め、協力してくださった学務室の方々、先生方、中国の案内をしてくださった劉さん、中国行きを応援してくれた両親や友人にこの場を借りて感謝の意を表したいと思います。 「学生」という身分は一つの特権だと思います。何をするのも自由で、時間もあります。自分のやりたいことを熱意を持って発信すれば、その思いをすくい取ってくれる人がきっといるはずで、その事を今回の活動を通して身をもって経験ました。 これからも視野を広く持ち多くのことに挑戦していきたいと思います。