工学研究科電気・電子工学専攻 博士前期課程2年
長田 修治
今回、電気関係学会北陸支部連合大会で、「音声発達過程を模擬する規則合成のための音韻、韻律情報の規則化」という題目で発表し、音響学会優秀賞を頂き、大変うれしく思っています。
規則合成とは、音素、音節、音の速さ、大きさ、高さといったパラメータを組み合わせて自由度の高い音声合成を行う方法です。現在の合成音声は機械的で不自然な印象を受けることが多く、また基本周波数の高い女性や子供のパラメータの抽出が難しいという問題点があります。そこで本研究では、規則合成のための基盤として、音声発達過程の実際の音声を分析し、分析されたデータをどのように蓄積し合成すればよいかについて研究しました。
本研究の分析にはSEARMA法という分析法を使い、得られた残差信号から基本周波数、音源強度、その時の時間を求め、それらを接点としてデータベースに蓄積しました。そしてデータベースからこれらの接点を取り出し、スプライン関数を用いて表現します。フォルマント周波数変化パターンも同様にSEARMA法によりフォルマント・アンチフォルマントを抽出、蓄積し、スプライン関数によって表現します。そしてこの分析結果から、成長と共にどのような変化が見られるかを調べたところ、幼児期においては、サ行子音の持続時間が短く、それによって「サル」が「シャル」に聞こえたり、不用意な位置にアクセントをつけていたりしたのが、成長と共に改善されていき、音声の発達的変化を見ることができました。修士論文では、この研究結果をもとに合成音声を作り、実際の音声とどの程度の誤差があるかを研究していこうと思っています。
今回の受賞で研究に対する意欲がよりいっそう高まりました。最後に、本研究において、ご指導、助言をいただきました森川准教授に心より御礼申し上げます。