FC-Soromonsチームリーダー
野々下 博昭
大阪工業大学で5月2~4日にロボカップ・ジャパンオープン2010が開催されました。今年も知能システム工学専攻進化ロボット研究室(前田・高橋研究室)のチームFC-Soromonsは、昨年に引き続き3位入賞を果たすことができました。2年連続の入賞にチームは大変盛り上がっております。
FC-Soromonsは、2005年7月に開催されたRoboCup2005大阪(世界大会)に初参戦し、それから毎年RoboCupジャパンオープンに参戦しております。2010年度は昨年よりも多い12名がFC-Soromonsとして参加しました。人数の増加に伴い何かと手のかかるロボット調整作業の一人あたりの負担が減って、メンバーはそれぞれが前向きに課題に取り組むことができました。特に今年は新しく入ったメンバーにチームのノウハウを手早く伝授したおかげで、その新メンバーが中心となって調整されたロボットの活躍もありました。
2006年には全方向移動機構・2007年にはボールを浮かせて蹴り出すキック機構の導入など、毎年我々のチームのロボット性能は向上しています。特にロボットビジョンは、本チーム独自となるMOVISを採用しており、他チームとは異なったアプローチから大会を盛り上げています。世界のトップレベルにはまだまだ遠く及びませんが、毎年参戦することで徐々にチーム力が向上しています。
昨年度は、2007年のジャパンオープンから合同チームを組んでいる大阪大学の”Osaka Trackies”と共に3位入賞を果たしました。そして、本年はFC-Soromons単独として初となる3位入賞を果たしました。それでも、日本のトップチームとの差は大きく、チームとしての課題もたくさん残されており、今回得た経験を活かして更なる上位入賞を狙っていきたいと思います。
ロボカップ・ジャパンオープン2010中型ロボットリーグ試合結果
参加リーグ名:中型ロボットリーグ
1位 Hibikino-Musashi(九州工大) [勝ち点12、得失点差 26]
2位 WinKIT(金沢工大) [勝ち点 7、得失点差 5]
3位 FC-Soromons(福井大) [勝ち点 5、得失点差 -4]
4位 DU-ST(大同大学) [勝ち点 5、得失点差 -4]
5位 The Nishikey(東京電機大学) [勝ち点 3、得失点差-10]
6位 KOOGEI-RV(東京工芸大学) [勝ち点 0、得失点差-13]
※FC-SoromonsとDU-STの勝ち点・得失点差が同じため、総得点でFC-Soromonsが総合3位。但し、決勝トーナメントでは3位決定戦が行われなかったため、2チームが同率3位となった。
昨年のジャパンオープン後から4代目のチームリーダーを任されました。大学入学以前よりロボット競技に興味があり、チームを引っ張っていく立場としてロボカップに参加出来たことは貴重な経験になったと思います。特にサッカー中型ロボットリーグは、現在の車輪型自律移動ロボットの中では最大の大きさの種目であり非常に高度な技術が要求されるため、なかなか個人で開発できるものではありません。そのため、研究室の先生・先輩方に支えられながら個々の作業に責任を持って取り組んでくれたチームメンバーと共に、昨年に続き3位入賞出来たことは大変嬉しく思っています。
私自身チームリーダーとして意識したことは、チームのこれまでの技術を確実に受け継いでより開発しやすい環境を構築することでした。せっかく独自の技術があってもそれを引き継いでくれる環境がなければ、一代限りとなる可能性があります。また、新しく入ったメンバーは加入してから数ヶ月で大会本番を迎えるため、チームのノウハウを伝える期間に限りがあります。その中で、チームメンバー全員が大会本番中も含めて力を付けていってくれたことは、昨年の私がそうであったように、今後の研究・開発を行う上での大きなモチベーションになったと思います。
ロボット開発は、非常に広い分野に渡って知識が必要となるため、取りかかるのも続けていくのもなかなか難しいと思います。私自身未熟者であり、そんな私が先頭に立っていくことに大きな責任感を感じています。研究室の先生・先輩方に多くの助言とサポートを頂けることに感謝しつつ、来年のジャパンオープンに向けてより良い成績が残せるよう努力していくつもりです。
福井大学中型ロボットリーグ参戦チームFC-Soromonsは、2005年のRoboCup2005世界大会(大阪)、JapanOpen2006(北九州市)、JapanOpen2007(大阪市)、JapanOpen2008(沼津市)、 JapanOpen2009(大阪市)、 JapanOpen2010(大阪市)と今年で参戦6年目を迎えました。2007年度から大阪大学との合同チームを組んでから、4位、4位、3位、3位と少しずつではありますが、成績も徐々に上がっています。特に、昨年7月からは大阪大学Trackiesのチームリーダをされていた高橋先生が当研究室に講師として転任して来られ、いろいろなノウハウが集結されるとともに、ロボカップチームとしての士気も高まったことが一番の勝因であったと思います。
今年度は、昨年よりも多い12名のメンバーを引き連れてチーム代表として参加しました。また最近では毎年当然のように回ってくる大会での運営委員や試合管理などの裏方の仕事も担当しており、チームの面倒すら見ている暇がないくらい相変わらずの忙しさでした。今年も昨年に引き続き、私自身の多忙もあってあまり進捗を管理できなかったこともあり、ロボット開発が遅々として進まない中での参戦であったため、かなり不安な大会を迎えたのですが、なんとか3位入賞をもぎ取ることができて学生と多いに盛り上がりました。毎年少しずつではありますが、成績を上げていることもチームにとっては非常にプラスになり、いいムードを作り出していると思います。
FC-Soromonsのロボットは、もともと階層型ファジィ行動制御、マルチ全方位ビジョンシステムMOVIS(3台の全方位カメラ)が最大の特長ですが、現在は、高橋講師が中心となって倒立振子型の人間に近い形態をもつ新型車輪型ロボットの開発を進めており、来年度の大会デビューに向けて着実に準備を進めており、現在のロボットに満足しないで常に新しい機能をもつロボット開発にも日々チャレンジしております。
2年連続の入賞が達成できたのも、なにより大学のGP関連経費や創成教育関係の予算等のご支援をいただいたおかげであると考えております。この場をお借りしまして、ロボカップ・チャレンジへのご理解、ご配慮をいただきました先生方に、厚く御礼申し上げます。