工学研究科 生物応用化学専攻 博士前期課程2年
西川 圭祐
私は群馬県で行われた2009年光化学討論会で、「光脱炭酸で生成したラジカルの分子内環化反応による大環状ラクトン合成」という題目でポスター発表を行ったところ、「最優秀学生発表賞」を受賞することができました。
簡単に研究内容について紹介します。まず、大環状ラクトン(マクロライド)は、香料または抗腫瘍活性を持つ天然物などの基本骨格であり、天然に広く存在しています。また我々の研究室では、光増感剤を加えてカルボキシ基を有する化合物に高圧水銀灯を用いて光照射すると、脱炭酸反応が進行し、フリーラジカルが生成することを報告しています。そこで、今回の研究では、光脱炭酸により生成したラジカルと末端アルケンとの分子内環化反応により、通常の合成法では困難な大環状ラクトンの合成を検討しました。その結果、非常に良い収率で18~21員環のラクトンの合成に成功しました。このような大環状ラクトンの合成は通常、非常に困難でありますが、我々が見つけた方法で行いますと、容易に室温かつ温和な条件で合成することができたため、様々な薬などへの応用が期待されます。
今回、最優秀学生発表賞を受賞させていただき、色々苦労してきたことが報われたような気がして、大変嬉しく感じ、またより一層研究に打ち込んで行こう思います。最後に、ご指導頂いた吉見泰治講師ならびにたくさんの先輩方、また共に研究に励む同僚や後輩たちにも、深く感謝いたします。