自閉スペクトラム症児の血液中の脂質と社会性が関連していることを発見

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子どものこころの発達研究センターの松﨑秀夫教授ら研究チームは、自閉スペクトラム症(ASD)児の血液を解析することにより、脂質がASD児の社会性の指標と関連していることを発見し、8月7日に松岡キャンパスで研究成果の記者発表を行いました。

記者発表する松﨑教授

記者発表する松﨑教授

自閉スペクトラム症(ASD: autism spectrum disorder)は神経発達障がいの一つで、社会的コミュニケーションの困難さ、興味や活動の偏りなどが特徴です。診断方法は専門的な医師による面接や症状のチェックリストのみで、病態のメカニズムは現在も不明、治療に資する標的分子も定まっていません。

そこで本研究チームは、先行研究から血液中の脂質とASDの関連に着目し、宮城県立こども病院とNPO法人アスペ・エルデの会の協力を得て、ASD児童(2~19歳)200名以上を対象に採血を行い、年齢層を合わせた定型発達(TD)児童と比較した脂質の解析を行いました。その結果、ASD児童では脂質の分解で代謝産物が増大し、「低脂血症」を合併していることを発見しました。この低脂血症は、血液中の様々な脂質を内包する「超低密度リポタンパク質(VLDL)」という粒子に含まれるコレステロールや、中性脂肪の濃度が低下していることを明らかにしました。また、遊離脂肪酸の濃度の高さは、ASD児童の社会性障がいの指標と正の相関を示すことが示唆されました。ASD児童の血液中で、VLDLの分解が進行し後に遊離脂肪酸の増加が見られ、この障がいの成因と関連している可能性を示しました。
新しい生物学的な診断指標のアプローチになることはもちろんのこと、血液中のVLDLという粒子の分解メカニズムを解明することによってASDの新しい治療標的の開発が期待されます。

本研究論文は、医学雑誌 Lancet(ランセット)の姉妹誌である「EBioMedicine(イーバイオメディシン)」電子版で2020年7月30日に掲載されました。

詳しくはこちらPDFをご覧ください。

│ 2020年8月12日 │
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