大学祭にあわせ、例年実施しているホームカミングデーは、「行われなかった卒業式を今」と銘打ち、教育学部・工学部の昭和47年卒生、52年卒生の卒業式を挙行しました。
昭和47年には、学費値上げによって学内に混乱が起き、昭和52年には、学生紛争の波が押し寄せたため卒業式が行えず、卒業証書は郵送で受け取りました。両年の卒業生からは、「卒業式が行われなかったことを今でも残念に思っている」との声が多く寄せられていました。
5月30日に行われた卒業式には、還暦を過ぎた324名が新たな人生の節目の記念日として出席し、卒業証書の代わりに「記念メッセージ」が学長から授与されました。眞弓光文学長は祝辞のなかで、「みなさんは70年安保、ベトナム反戦運動といった政治の季節に大学生活を送り、卒業されてから、約40年が経過しました。この式がこれまでの来し方を振り返り、これからの人生について改めて考える機会になれば、大変嬉しく思います」と言葉を贈りました。昭和47年に繊維染料学科を卒業した竹内幸子さんは「大学時代の学びも、仕事をしている中で大いに生かされ、友人たちとディスカッションしたり、自問したり、授業外でも先生方に教えていただいたことは、後々の楽しい人生の基盤となりました。卒業式は本来、別れの日でありますが、今日何十年ぶりかで再会できた学友とともに、新しいことへの挑戦、また地域社会へささやかでも貢献していきたいと思います」と謝辞を述べました。
当時の学歌や70年代にヒットした「あの素晴らしい愛をもう一度」をグリーンエコー合唱団と吹奏楽部と一緒に合唱し、学生も先輩の卒業式をお祝いしました。待ちに待った卒業式を終えた卒業生は、「記念メッセージ」を手にして写真に収まり、懐かしい話に華を咲かせ、晴れ晴れした笑顔を見せていました。