本学、有本化学工業、金沢工業大学は、共同でポリプロピレン繊維の染料開発に成功したことを8月20日に発表しました。
ポリプロピレンは、1957年に開発され、安価でありながら、耐熱性、強度、耐薬品(酸、アルカリを含む)性に優れ、比重が0.92と非常に小さく、水に浮かぶ上に、吸湿性が無いという特徴があります。ポリプロピレン繊維がこれまで普及してこなかったのは、吸湿性がないために染色が困難で色彩豊かな生地にならなかったためです。
本学 堀 照夫客員教授、大学院工学研究科 繊維先端工学専攻 廣垣和正准教授、田畑 功技術長、金沢工業大学の宮崎慶輔准教授が、水で繊維を染める水系染色ではなく、二酸化炭素を高温、高圧にして、気体でも液体でもない超臨界流体という技術で染色する「超臨界二酸化炭素染色」の技法を用いて、有本化学工業の古賀孝一氏とポリプロピレン繊維の染料「赤・青」二色を開発することに成功しました。
既存の黄色と合わせて三原色(赤・青・黄)が揃ったことで、バリエーション豊富な色彩とポリプロピレンの機能を存分に生かした保温機能肌着、スポーツウェアなど幅広い展開を可能にしました。超臨界染色は水系染色と違い、染色の際に大量廃水を出さないため、水質保全にも貢献できる技法です。
本学の堀客員教授は記者説明会のなかで「ポリプロピレン繊維は夢の繊維として登場したが用途が広がらなかった。今回の開発で、柔らかくて細い繊維に染色できるようになった」と話し、繊維業界に一石を投じました。