医学部感覚運動医学講座 皮膚科学の長谷川 稔教授、宇都宮 慧医員らは、皮膚で日常的に分泌されているタンパク質の一種「デルモカイン」を完全に欠損したマウスの作製に世界で初めて成功し、このマウスで解析を進めたところ、デルモカインがバリア機能維持と炎症制御という2つの異なる働きにより、皮膚を健康に保つ作用を持つユニークな分子であることを突き止め、10月25日に松岡キャンパスで研究成果の記者説明を行いました。
デルモカインを欠損させたマウスは、皮膚の保湿機能を持つセラミドなどの皮脂が減少し、皮膚に異常な乾燥、角化が生じる難病「魚鱗癬(ぎょりんせん)」と同様の症状を示し、また皮膚の遺伝子の発現は皮膚に炎症が起こる疾患「乾癬(かんせん)」とも類似した異常を示しました。魚鱗癬や乾癬は、人目がとても気になったり、皮(鱗屑)がむけて落ちることなどから苦しんでいる患者さんが多く、根治的な治療法は確立されていません。
今後、デルモカインの働きをさらに解明することで、皮膚の乾燥と炎症を伴う病気に対する新たな治療法の発見につながることが期待されます。
本研究成果は、2019年10月25日に米国科学誌「Journal of Investigative Dermatology(ジャーナル オブ インヴェスティゲーティブ ダーマトロジー)」に掲載されました。
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