本学医学部産科婦人科学と福井県健康管理協会、日本対がん協会は、子宮頸がん検診の受診率の向上を目的に、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を調べる検体の自己採取の臨床研究について、2月8日、県庁の県政記者会で会見を行いました。
現在、国内では子宮頸がん検診の方法は、細胞を顕微鏡で調べてがん化しているか診断する「細胞診」が標準とされています。一方、今回の研究は、HPVに感染しているかどうかチェックするため国際的に広く使われている検査キットを用いて自分で検体を採取する「自己採取HPV検査」と、医師による採取の結果を比較します。自己採取に問題がなければ、仕事や育児で忙しく検診を受けられず不安な女性も自宅などで検体採取して郵送するだけでウイルスの存在をチェックでき、存在が確認されれば検診受けてもらう動機付けにもなります。これは、子宮頸がんの早期発見に繋がり、検診率の向上にも期待されています。
出席した本学医学部婦人科学の吉田好雄教授は、「子宮頸がん検診の受診率は40%と低く、HPVは25~29歳で約6人に1人が感染し、がん発病の可能性がある。この取り組みにより若い女性の苦しみを無くしていきたい」と意義を説明。
続いて、黒川哲司准教授と大沼利通助教は検査キットについて、オランダやオーストラリアなどを中心に世界の主流だが、日本でのこの検査キットの活用は初めての取り組み。この検査により5%程度の受診率アップが期待できる、と予想していました。福井県で実施できるのは、①本学が2015年からHPVの感染率に関する臨床研究を行っていること②県健康管理協会に県全体の検診データが一元化し保管されていること③人口の出入りが少なく患者らのフォローがしやすいことの3つを挙げました。
県健康管理協会の松田一夫副理事長が、「子宮頸がん検診の普及モデルとして福井から全国に発信したい」と述べました。