福井大学・奈良女子大学・岐阜聖徳学園大学連合教職開発研究科(教職大学院)は、エジプトの若者の能力強化を目的とした「エジプト・日本教育パートナーシップ(EJEP)」の人材育成事業(EJEP-HRDP)により、2021年度までの4年間にエジプトから約680名の教員を研修員として受け入れて日本型の教育を指南することを、12月12日、文京キャンパスで発表しました。
EJEP は2016年2月の「日本とエジプトとの二国間関係の新たな段階への飛躍のための協力に関する共同声明」において締結されました。EJEPでは「特別活動」に象徴される日本型教育の導入を進め、それを適用する日本型学校の教員を対象にした研修の委託先に本学が選定され、実施することとなりました。
発表の会見では、中田隆二理事(教育・学生担当)副学長が「福井県の教育力の高さや学校拠点方式による本学教職大学院の取り組みが高く評価され、うれしく思います」と挨拶しました。
続いて、松木健一連合教職開発研究科長から、採択に至った経緯やグループ研修の概要などについて説明、エジプト出身で同研究科のM.ヤスミーン准教授が「エジプトでは子どもたちが主体的に活動する学校行事や掃除など、日本の特別活動に相当する教育は行われていない。一方で、社会との繋がりや学ぶことの意義を伝える教育の改革や教員の力量形成が求められている」と教育の現状と課題を紹介しました。
来学した駐日エジプト大使館文化教育科学局のDr.Hany A El-Shemy参事官が、「福井大学は、学校や地域と連携した教育の実践研究や教師の資質向上の取り組みなど評価が高い。その取り組みをエジプトに伝えてもらえることは心強い。2019年1月末からの研修に向けて準備を進めています。研修後の教員の能力向上に期待しています」と本学が選ばれた理由を述べました。その後、本学が国際協力機構(JICA)から受託し実施しているアフリカ圏の教員対象にした研修事業を視察しました。
本研修プログラムは、「TOKKATSU+School Governance Management(学校運営)」、「TOKKATSU+Activities(技能教科等の教育活動)」、「TOKKATSU+Learning Improvement (Lesson Study)(授業研究)」、「TOKKATSU+Early Childhood Education(幼児教育)」の4コースから成っています。2018年10月末にエジプト大使館と本学間で締結した研修員受入委託契約に基づいて1組約20人の研修員を4週間ずつ、計34回受け入れます。教育学部附属学園や公立学校で日本の特徴的な教育の手法を学ぶほか、今後、本学教員がエジプトの現地を訪れ、帰国後の取り組みをフォローアップするなどしながら包括的な支援を行います。