国立大学法人の財政的基盤である運営費交付金は,骨太方針2006に基づき,毎年△1%の適用を受け削減され続けております。
このような中,本学では,多くの優秀な人材の育成や研究成果の還元により,地域の様々な機能を支えており,近年では,教師力を高めるための教職大学院の設置,福井県からの要請に基づく医学部の定員増,原発立地県である福井県の地域特性を踏まえた原子力分野の人材育成に向けた取組等,減りつつある運営費交付金の中で最大限の努力を行い,地域の発展に貢献しております。
しかしながら,新聞記事等でも報道されているように,最近,政府部内において来年度概算要求基準(シーリング)における国立大学に対する運営費交付金や私学助成費の削減幅を従来の1%から3%とする方向で検討が行われ,7月29日閣議了解を目指した確定作業が行われていると聞き及んでおります。
このような3%削減が実際に行われた場合,本学においては,例えば,大学全体の教育研究を行うための基盤経費相当分が消失し,果たすべき教育研究機能に重大な支障をきたすおそれが生じます。さらに,本学では,運営費交付金が毎年削減される中にあっても,教職員に対する地域手当の執行を凍結するなどの努力により生ずる資金等を基に,福井県に世界トップレベルの国際原子力工学研究所(仮称)を設置すべく準備を進めておりますが,このような努力にも深刻な打撃を与えることが危惧されます。
地域の“知の拠点”としてこれまでに本学が果たしてきた役割を考えれば,この3%削減は本学の教育研究機能の低下だけにとどまらず,地域のイノベーション推進や知識基盤社会の発展の芽をつみ,未来の経済成長の可能性をいたずらに損ねるものであります。
よって,本学は,地域社会における国立大学の役割を責任を持って果たしていくために,国立大学法人運営費交付金の大幅削減に強く反対するとともに,その確保・充実を求め,本学がこれまで以上に地域社会に貢献できるよう関係各位のご支援をお願いするものであります。
平成20年7月24日
国立大学法人福井大学長
福田 優
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