福井県内外の高校1、2年生が参加する福井大学の「生命医科学フューチャーグローバルサイエンティスト育成プログラム “Fukui Medical High School(FMHS)”」の一環として、大阪大学の吹田キャンパスで、12月23日、24日に研修を実施しました。最新の研究動向を学ぶことを目的に年2回予定する研修の2回目(1回目は理化学研究所で8月12日に実施)。高校生34名が参加し、医学部医学科3年生のティーチングアシスタント5名のサポートを受けながら、ヒトの体細胞分裂や減数分裂における遺伝子の機能と癌化メカニズムなど最新の研究内容を目の当たりにしました。
まず、大阪大学蛋白質研究所ゲノム染色体機能研究室の篠原美紀准教授が「DNA二重鎖切断の光と影-ゲノム安定性と発がんにおける組換え修復」をテーマに講義。細胞の癌化メカニズムや「染色体の安定化がなぜ必要か」など紹介しました。
その後、研究室の見学や、人のリンパ球、大腸がん、子宮がんなどの細胞の観察、細胞を生きたまま撮影できる光学顕微鏡「Delta Vision」で染色体分裂の様子を観察しました。
24日は、福井大学子どものこころの発達研究センター特任教授でもある大阪大学大学院医学系研究科解剖学講座の佐藤真教授が「神経細胞が織りなす小宇宙 脳の不思議とその実際」をテーマに講義しました。大脳皮質の神経回路網の構造や、光で脳を操作する「オプトジェネティクス」など最新の脳科学を紹介しました。
引き続いて、篠原研究室に所属するナイジェリア、インド、中国などからの留学生らと英語でラウンドテーブルを行いました。外国籍の研究者が多い篠原研究室の共通語は英語ですが、英語以外を母語とする人がほとんどという中、90分にわたり、自己紹介、研究内容、グローバル化の中で必要なこと、日本の文化や観光名所など、自由に語り合いました。染色体の減数分裂について、手書きイラストを交えながら英語で説明を受けたグループもあり、高校生たちは真剣なまなざしで聞き入っていました。
英会話に不安があったという高校生は「話してみると、つたない英語でも伝わることが分かった」と感想を話しました。
篠原准教授は「学校で習ったきれいな英語ではなかったと思います。世界ではきれいなアメリカンイングリッシュを話す人は少ないので、皆さんも、いろんな英語、ジャパニーズイングリッシュで構いません。伝えることが大事です」とエールを送りました。