本学からJICA(国際協力機構)「草の根技術協力事業」に申請した「バングラデシュ国パイガサ地域の水・保健環境改善プロジェクト」が採択され、この度、事業の開始にあたり、JICAと本学で調印式を行いました。本事業の採択は県内初です。
式では、眞弓光文学長が「本学、JICA、現地NGOの三者で協力してこのプロジェクトを進めていきたい」と話し、JICA北陸 仁田知樹支部長は「今回の対象地域は、これまでにJICAの援助が入っていない。本プロジェクトは住民の健康に直接関係するプロジェクトで、注目している」と期待を込めました。
このプロジェクトでは、バングラデシュの首都ダッカから南西430㎞に位置するパイガサ地区パーバヤージャパ村において、水および保健環境の改善を医工連携で進めていきます。パイガサ地区は、海抜ゼロメートル地帯で、内陸に入り込む海水を利用したエビの養殖が盛んです。地下からくみ上げた水は鉄や塩分といった不純物が多く含まれており、飲用に適さず、消化器系に不調を訴える村民が多い現状に悩んでいます。
工学系部門工学領域 福原輝幸教授らが開発した「太陽熱淡水化装置」は、海水を蒸発させ、水を回収する仕組みで、1基当たりの製作・設置コストが約300円と安価なことが大きなメリットです。本プロジェクトではこの装置の普及を目指します。さらには、安全な水の供給を実現するため、医学系部門医学領域 日下幸則教授、医学系部門看護領域 長谷川美香教授らもプロジェクトに参画し、住民に対して保健衛生の指導を行います。