若手研究者を育成、支援する福井大学の「テニュアトラック制度」シンポジウムが3月20日、同大学文京キャンパスで開かれた。平成23年度から3年間に整備した「生命科学」「アメニティ工学女性」「重点研究」の若手リーダー育成特区に所属するテニュア教員が、制度に基づく研究費と研究環境を生かして進めた成果を発表した。
シンポジウムは昨年に引き続き2回目。テニュアトラック推進本部の教員ら72名が参加した。基調講演で、科学技術振興機構の榎敏明 科学技術システム改革事業プログラム主管は「優れた成果を上げた研究者の多くは、若い時期にその基礎となる研究を行っている。一方で若手研究者は自立して研究に専念できる立場・環境にない者が多い」として人材育成にはポスト確保とキャリアパス整備の必要性を強調。各特区の取り組み紹介の後、坂元博明講師が高分子ナノファイバーの構造解析と機能制御、木曽久美子助教が建築・都市空間における人間行動とシミュレーションについて報告するなど、テニュアトラック推進本部の若手研究者6名が研究成果を披露した。
続いて、福井大学のテニュアトラック第1号教員として採用され、今年3月に医学部薬理学領域の教授に就任した青木耕史氏が、経験者からの研究発表として「大腸がん幹細胞の幹細胞性の制御機序の解明」について報告。最後に、神戸大学のテニュア教員を経験した井垣達吏 京都大学教授が「細胞の競合と強調によるがん制御」と題して特別講演した。終了後には情報交換会もあり、テニュアトラック制度による人材育成の理解を深める場となった。