本学は3日、国立遺伝学研究所 鈴木 睦昭氏を講師に迎え、生物を扱う学生・研究者に向け、遺伝資源の取得や利用の国際的ルール「ABS指針(名古屋議定書の国内措置)」説明会を行いました。
2010年の「名古屋議定書」の採択後に遺伝資源を保全するABS指針が発行し、大学でも動植物や遺伝資源の持ち込みや、購入をする場合の配慮は指針に基づいた手続きを踏まなければなりません。説明会には教職員、学生43名が参加し、ABS指針の理解を深めました。鈴木氏は、海外での遺伝資源採取や留学生による国内への遺伝資源の持ち込みに伴って大学で起こり得るトラブルや国際的な問題となったケースを挙げ、提供国側の法規制が近年、厳しくなっていることを強調しました。遺伝資源の入手に際し、提供国の法令を遵守することやベネフィットシェアリングと呼ばれる提供国側への利益配分に係る、実験技術を紹介したパンフレットや図鑑を作成し、提供国で無料配布を行った例など、学術機関がとるべき対応の紹介がありました。
最後にそれぞれの国が独自に定めている指針があることを紹介し、申請書類等の作成で困ったときは遺伝学研究所に相談してほしいとのアドバイスも含められました。
鈴木氏は「守らなければならないことはたくさんありますが、尻込みすることなく、生物資源を活用してください」と話し、提供国の法令や規則を順守することで、生物多様性の保全や持続可能な利用に貢献すると理解を求めました。