8月3日、本学の学生総合相談室と保健管理センターが、「“どこまでできるか”一緒に考えよう!」と題して、文京キャンパスのアカデミーホール(松岡キャンパス及び敦賀キャンパスはTV会議)で講演会を開きました。教職員のほか、県内高等教育機関および外部支援機関の関係者計75名が参加しました。
本学理事(企画戦略)副学長で保健管理センターの上田孝典所長による開催趣旨説明に続いて、信州大学学術研究院(教育学系)の高橋知音(ともね)教授が、「発達障害や精神的な障害のある学生への合理的配慮」の演題で話しました。
高橋教授は、障害者差別解消法が求めている障がい者への「合理的配慮」という考えについてはじめに説明をされました。まず、障がいのある学生から入学後の生活の中で学内の「障壁」とされること(例;視覚障がい学生にとってのペーパー試験形式)を除去して欲しいとの意思表示があった場合、国公立大学は合理的配慮を行うことが法的義務であることを話されました。また、評価方法、評価基準をシラバスに明記する必要があると指導され、方法は柔軟に変更したとしても、教育の本質を変えない(評価基準を下げたりしない)ことが重要であると話されました。一つの事例として、プレゼンテーション発表とディスカッション重視の演習授業が紹介されました。本人の障害特性のために授業で他学生の前でのプレゼンテーション発表が難しく、発表における配慮を求めた学生には、「この授業の本質は発表スキルの習得である」と捉え、本人と話し合ったうえで、録画したプレゼンテーション発表を授業で流すなどの合理的配慮を行ったことが挙げられました。高橋先生は「合理的配慮は障がい学生の『できる』『できない』の中から最適な方法を模索し、変更することで、学生が本質的な学びを得ることができ、成長に繋がる」と強調されました。さらに、公開講座などにおいても“参加にあたり特別に配慮等が必要な場合には申し出てください”との一文を添える必要があるとの指摘もありました。
続いて、本学保健管理センターの栗田智未講師がファシリテーターとなり、グループワークが行われました。交換留学の派遣および受入の担当者からは、「『合理的配慮』の対応が進んでいる国はどこか、どのような連携体制が可能か」など参加者それぞれの立場や視点からの意見があり、充実したディスカッションとなりました。栗田講師は「教育のユニバーサルデザインの必要性を実感しました」とまとめました。
最後に、本学保健管理センターの浦﨑芳正副所長が、「わかりにくい概念『合理的配慮』が少し形になってきました。今後も学生総合相談室及び保健管理センターが連携し、支援体制の整備・強化に努めたい」と総括し、本学や福井県内における障がい学生支援の進展が期待される有意義な講演会となりました。