藤垣 元治 先生

大学院工学研究科
知能システム工学専攻
藤垣 元治 先生

小さなモノから大きなモノまで光で測ります!

  • 大学院工学研究科 知能システム工学専攻(非破壊検査、光応用計測、画像計測)
  • 藤垣 元治 先生

今年3月に和歌山大学から赴任しました。直接物体に触れずに、物体の形や状態を三次元で測る「画像計測・光応用計測」が専門です。携帯電話に使われるような極小の電子部品から橋やビルなどの巨大構造物まで、「高速で・精密に・コンパクトに・使いやすく」計測・検査する方法を研究しています

世界一の高速化・高精度化

ものづくりの現場では「欠損していないか?」「不具合はないか?」を探る検査が、製造工程と同時並行で行われるので、精度よくリアルタイムに検査できるシステムが必要になります。三次元計測は工業分野の検査だけでなく、医療や服飾など、様々な分野で必要とされています。

三次元計測装置は、プロジェクターとカメラを組み合わせることで、けっこう簡単に作ることができます。写真1のように、プロジェクターで投影された格子模様の前に物体を置くと、物体の形状に応じて格子模様がゆがんで見えるので、それを撮影した画像から形状が計測できるというのが基本原理です。カメラで撮影すると多かれ少なかれ画像はゆがんでしまうのですが、そのゆがみがあっても精度が落ちない手法(しかもリアルタイム)を考案し、それを世の中の三次元計測に広く使っても らうことを目指しています。これで計測精度は格段にアップします。最近はLED素子を直線状に何列も配置したデバイスを作って、高速・高精度・小型にする研究をしています。

LEDを使った小型プロジェクターの試作

また、三次元計測と同じく、格子模様を用いることで大型の構造物の動きが精密に計測できる計測手法の研究もしています。これは将来、社会インフラの維持・管理に欠かせない技術となります。撮影するだけでリアルタイムに変位分布(どのあたりがどのくらい動いたのかを表す画像)が出力される特殊なカメラを開発し、それを橋梁やビル等の変位計測に使っています。どうせ試すなら、ということで、世界で一番高いドバイの「ブルジュ・ハリファ(828メートル)」を測ってみました(写真2)。ビルの窓を格子模様に見立てて。すると、ビルの上層階では、20分間で約20ミリの動きがあるという計測結果になりました。確かめる手段はありませんが、ひょっとしたら温度の変化でビル全体がほんの少し曲がったのかもしれません。

今後に向けて

p11-4誰もやっていない手法で世界一を目指し、高速化、高精度化を実現、その次は小型化と、性能や機能を高めるための研究をしてきました。これをベースにして「知能システム工学科」では、使用する人の行動や意志が反映される知的な計測デバイスへと発展させ、世界中の人に使いやすい光計測システムを届けていきたいと思います。

今ハマっていること★

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家に金魚がいます。夜店の金魚で、はじめは小さかったのですが、何でも食べて巨大化しました。最近は暖かくなって水槽に藻が生えるのでその掃除が大変ですが、飽きずに続けています。そのうち三次元計測の実験台として活躍してくれるかもしれません。