夛田 浩 先生

医学部
循環器内科学領域
夛田 浩先生

突然死をもたらす不整脈を克服するために

生命に関わることが多い循環器疾患

平成24年8月に、医学部循環器内科学領域の新設に伴い、赴任しました。循環器領域の疾患は、治療が遅れると生命に関わることも多くあるため、迅速に診断し、適切な治療を行うことが重要です。また、一度危機を脱しても、繰り 返し発作を起こし、結果的に死に至ることもあります。心電図や超音波検査、CT、MRIなどを用いて、これらを診断する力、そして適切な治療を選択できる力が要求されます

進む不整脈の非薬物治療

私はこれまで、循環器病の中の不整脈、特にその非薬物治療に最も力を入れてきました。通常、心臓は規則的に収縮を繰り返して血液を送り出し、酸素を全身にくまなく送っていますが、そのリズムが乱れると不整脈になります。特に難治性で生命を脅かす恐れのある不整脈については、その種類によって、カテーテルアブレーション、埋め込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)の三つの治療法を実践しています。

カテーテルアブレーションは、脈が異常に速くなる頻脈性不整脈を対象にした治療で、発生起源を直接焼灼し、不 整脈を起こらないようにします。カテーテルに三次元画像診断装置を導入し、根治も可能になってきました。

ICDの対象は、生命を脅かす可能性の高い心室細動などの危険な不整脈(致死性不整脈)です。あらかじめ体内に植え込まれた除細動器が致死性不整脈を感知すると、自動的に高頻度電気刺激や電気的除細動を行い、不整脈を停止させます。

CRTの対象は、心臓内の収縮と弛緩のタイミングが〝ずれ?(同期不全)ている重症の心不全です。右心室と左心室の2ヵ所に専用のリードを置き、同時に電気刺激を行うことで心臓の動きを同期させて、同期不全を是正する治療です。

この三つの方法で不整脈治療は、劇的に変化しました。ただ、治療を行う中で浮かび上がってくる不明点や疑問点も多くあります。このような疑問に対しては、臨床研究を行い、現場にフィードバックしたいと考えています。

これからを担う医師を

循環器内科は循環器疾患のみならず、糖尿病、高血圧、慢性腎臓病などの合併症を持つ患者さんも多く、さまざまな症例を経験できます。また、上記の不整脈の非薬物治療に加えて、狭心症や心筋梗塞などを対象とするカテーテルを用いた冠動脈形成術や、手足への動脈が狭くなったり閉塞したりする末梢動脈疾患を対象とする末梢動脈血管形成術などの外科的な手技の習得もできる幅広い分野です。

循環器内科を専門とする医師はまだまだ少なく、この分野に興味のある学生には、ぜひチャレンジして欲しいと思っています。今後は一人でも多くの臨床医を育て、地域医療のレベルアップにもつなげていきたいと考えています。

今ハマっていること★

p10-5仕事を終えて帰宅したあと、家族も寝静まり、一人録画したテレビドラマを観るのが一日の締めです。前クールでは、木村拓哉さん主演の「HERO」にハマっていました!今秋のオススメは何でしょう?