子どもの特性に合った最適な係り方とは
- 教育学部(教育心理学)
- 大西 将史 先生
- 研究者詳細ページ
着目したのは「ライフパートナー」
学校に居づらい、授業についていけない、じっと座っていられないなど、悩みや問題を抱える子どもに、あなたならどのように接しますか?
学校教育課程の学生は、卒業までに必ず、派遣依頼のあった小中学校や家庭等に出向き、悩みや問題を抱える子どもと遊んだり、勉強したりしながら交流を深める「ライフパートナー活動」に参加します。これは、授業科目「学校教育相談研究」に位置づけている活動で、ふれあいの中で抱いた疑問は、大学に持ち帰り、授業の中でケースカンファレンスを重ねながら、より良い係わり方を模索。子どもの特徴や経過に則した係わり方、子どもの変化を細かく最終報告書に綴ります。
私は、このライフパートナー活動に着目し、教育地域科学部の廣澤愛子先生、笹原未来先生、粟原知子先生と協働で、多数の報告書などを分析しながら、子どもの特性に合った最適な係わり方を明らかにする研究を進めています。
膨大な記述を細かく分析
まず、学生たちが係わる子どもたちについて、正しく理解することからスタート。子どもや保護者、学校の先生、係わり手である学生にアンケートを行い、それら4つの視点から、子どものメンタルヘルスの状態、行動特性、抱えている問題について調査します。
続いて、学生が書き上げた報告書の膨大な記述から、学生の係わりと子どもの様子をそれぞれ抽出し、研究室で開発した解析コード・カテゴリーに分類します。例えば学生の係わりであれば、「他者との仲介役」「共同活動」などがあり、子どもとの関係性の深さや活動場面などを合わせて分類していきます。子どもの様子についても同様に分類し、特に、支援によって意欲や態度などが好転した場合は、変化の経過を細かく抽出し、学生の係わりや子どもの特性と組み合わせて分析します。この研究により、子どもの傾向と最適な係わり方を組み合わせて提示できるようになればと考えています。
「今」を大事に
体の発育が著しい思春期から社会に出るまでを青年期と言いますが、この期間には、人との係わりが分からなくなったり、戸惑ったりする方が多くいます。私もそういう経験をしたことから、心理学の世界に飛び込みました。
もともとは、青年期の悩みや心の仕組みにしか興味がなかったのですが、大学で専攻した発達心理学は、乳児から老年期までと対象年齢が幅広く、また、社会に出た後も幼児から中学3年生までの約一万人を対象とした大規模なコホート研究に関わるなど、その時々の課題や使命を通じて、自分の世界が広がっていきました。
皆さんには、「今」を大事にしてほしいと思います。将来のことばかり考えて、貴重な「今」をないがしろにしていませんか?それは、将来を考えることを先送りにして刹那主義的に生きろということではありません。今を生きるということは、将来のために力を貯めることのみに邁進するのではなく、今、目の前にあることに対して、持てる力を精一杯使い、取り組むということです。私自身、その時々の役割を全うしていく中で、結果として様々なことを学べたと実感しています。発達という視点から見ても、人は今を一生懸命生きた結果として成長を得ているんですよ。
今ハマっていること★
某海外の祭りに参加する番組で出てきた段ボール船に触発されて、小学生の娘と一緒に作りました。しかし、川に浮かべて乗った瞬間に転覆。次は、ベニヤ板で、より頑丈なカヌーを作ります!