REPORT01福井大学SDGs推進室
SDGsは、自分がどう生きたいかを
探る手掛かりになる
取材対象者:室長 松木 健一 理事(企画戦略担当 副学長)
探究インタビュアー:竹本 和也(国際地域学部4年)
竹本 今年4月(2022年)に、福井大学に「SDGs推進室」ができたと聞き、大学としてどんな活動をしていくのか、学生もその活動にどう関わっていくべきなのかといったことをお聞きしたいと思い、やって来ました。
松木 来てくれてありがとうございます。大学ではかなり真剣に目標を決めて活動を開始しています。国立大学法人法に基づき、6年毎に策定する中期目標・中期計画のなかにSDGsの17の国際的目標のうち6つを中心的に取り上げ活動していくことを盛り込みました。この6つを窓口にして入っていく。SDGsの17の目標はすべてが繋がっているので。
SDGsという言葉を全面に出しての取り組みは、まだ始まったばかりですが、例えば学内のエネルギーや水、紙の使用量をどう減らすかなど、環境ISOを通して以前から目標を決めて取り組んでいました(http://ems.ou.u-fukui.ac.jp/iso/d.html)。
これからは、SDGsという言葉も活用することで、取り組みをわかりやすく強化し、学生にも一般の方々にも福井大学の取り組みを知っていただくためにSDGs推進室を立ち上げたわけです。
竹本 今、福井大学の環境報告書を見せていただいて、こういう活動をすでにしていたというのは驚きです。ちょっと誇らしい。こういう活動のことを、学生がもっと知らないといけないですね。
SDGs推進室から、
学生視点でこんなことをしてほしい
といった要望はありますか?
松木 大学がこういう目標を立てたから、学生もそれに沿ってこうしてください、というのはSDGsの精神に反しているように思います。私は大学の副学長という立場でできることを考えているのだけれど、学生一人ひとりが自分は何ができるんだろうと考えるところからスタートしてほしいと思います。
竹本 一人ひとりの目標に落とし込むということですね。そのためには、もっとSDGsについて勉強しないと……。
松木 まずは17の目標を一つひとつ眺めて見よう。ほんといろいろな項目があるよね。これらは地球にとって必要なことだと世界のみんなが同意して作り出したもの。
それが地球のためだとか
世界のためというのと同時に、
自分にとってはどうなのかなと
考えてみてはどうだろう。
例えば、ジェンダー平等について僕はこんな風に考えていきたいなとか、貧困について私はこういう風にふるまえる人間になりたいだとか、自分自身に問い直してみると、すべての目標が人のアイデンティティをつくることに直結していく中身なんじゃないかな。自分がこれからどう生きていくか、自分は何者なのか、どうしたいのかというアイデンティティの形成を考えるきっかけになる。
竹本 なるほど、なんか僕のなかにビビっときました。自分が誰かを助けるとか、ボランティアに参加するとか、それも大切だけれど、自分がどうありたいかを考えるってとても大事ですね。でも、考えるだけでは駄目ですよね。
松木 そう、動かなければなんの答えも出ないね。行動してから考えてもいいくらい。ですから、大学としては地域や企業と連携して、学生がSDGsに触れられる機会を積極的に作ろうと計画しています。そういったチャンスに学生自身が一歩踏み出し、社会で求められることに対して、自分なりの答えを出せるようになってほしいですね。
竹本 わからない部分は、先生方に質問してもいいんですか。
松木 もちろん、いいんじゃない。ただし、よく知っている人やわかっている人に質問する場合は、すぐに納得しないことが大切。なにかおかしいと思ったことは言う。口に出して言うことで、何かがはじまることがあります。
竹本 そうですね。自分の身のまわりにある多くの問題に対して、違和感や疑問をそのままにせず、自分で感じたこと、考えたことに向かって行動する。答えは自分のなかにある。できることがありそうに思えてきました。あっ、でも今の話で言えば、ここで簡単に納得したらダメなんですよね。もっと自分のなかで問い直してみます。ありがとうございました!