DATE: 2021/8

医学部の研究成果をもとに 開発された 鼻うがい液が 発売されましたTopics

 昨年11月17日に医学部感覚運動医学講座 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 藤枝 重治教授、 高林 哲司講師らは、新型コロナウイルスの感染予防が期待される化合物を同定したと発表しました。
 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヒトへの感染には、コロナウイルスの「Sタンパク質」がヒトの細胞表面の受容体「ACE2」に結合して、細胞内に取り込まれて発症することが分かっています。またACE2の発現量は鼻腔で最も多く、感染初期に上気道炎の症状が見られることからも鼻腔を含めた上気道で最初の感染が起きると考えられます。高林講師は、上気道粘膜におけるACE2の発現量を減少させることができれば感染の防止、重症化の予防、および他人への感染予防の効果が期待できるのではないかと考え、培養ヒト気道上皮細胞を用いて複数の化合物を添加することで気道上皮細胞におけるACE2の発現量の変化を測定しました。その結果、短鎖脂肪酸を細胞に添加することによって気道上皮細胞のACE2の発現量が抑制され、なかでもプロピオン酸、プロピオン酸Naに強い効果があることを明らかにし、特許を出願しました。この成果を受け、ゲンキー株式会社(本社:坂井市丸岡町)は、鼻専用洗浄液「プロピオ鼻うがい」を開発し、6月13日に販売を開始しました。