PBLで身に付けた多角的な視点。
記者として隠れた社会問題に
光を当てたい
- 株式会社日刊県民福井
編集局報道部記者 - 堂下 佳鈴さんさん
- DOUSHITA Karin
- 2019年度国際地域学部国際地域学科卒業
継承される伝統行事を映像化。
住民の熱い思いにふれる
私は2016年に新しく設置された国際地域学部国際地域学科の第一期生です。元々興味があった地域課題に加え、グローバルにも学べるところに惹かれて入学しました。今も深く印象に残っているのは、3年次に取り組んだ課題探求プロジェクト(PBL)です。福井市安居地区にある高雄神社の伝統行事「オシッサマのお渡り」を取材し、ドキュメンタリー映像にまとめました。実は、この祭りが行われている地区出身の私は、獅子頭をかぶり祭の行列を先導する祭神「オシッサマ」を代々務める守護職の家に育ちました。取材を重ねるうちに、地域の人々の祭りに対する熱い思いを感じただけではなく、そのなかの課題も見えてきました。人口が減少していく中、伝統を守りつつ、何を変えていくのか。「祭りを継承したい」という思いは同じでも立場や世代によって考え方に違いがあり、物事を多角的に捉えることの大切さを学びました。実際に「オシッサマ」を受け継ぐ父と兄も取材し、普段は口にしない継承者としての思いを知り感動しつつも、家族としての主観が入らない作品作りを心掛けました。公平な立場で「客観的に、正しく伝える」という姿勢は新聞記者の仕事に生かされています。
社会問題に興味があり新聞記者へ。
「客観的に伝える」難しさを実感
国際地域学部は、専門的なことを追求するというより、地域とグローバルをテーマに幅広く探求できる学部です。自由な発想で豊かな学びができる環境が揃っていました。留学にも挑戦でき、私は1年次に1カ月間、アメリカのポートランドへ留学し、視野を広げました。今、この学科で学んでいる皆さんも、分野に縛られず興味があることを掘り下げていってほしいですね。それができれば、自主性や積極性も身に付くはずですから。
新聞記者になって1年が経ちました。報道部では事件・事故、教育に関する記事を担当しています。裁判員裁判の記事を書いたこともありました。事件が起これば現場へ駆けつけ、周辺で聞き込み取材をしますが、住民の方になかなか心を開いてもらえず苦労することもあります。教育の分野では母校である福井大学での取材もあり、専門性の高い研究成果の記者発表では難しい専門用語が飛び交うため、下調べが欠かせません。取材を通して多くの経験ができ、その一つひとつが自分を成長させてくれています。記者になって実感しているのは、毎日起こる事件や事故の背景に根本的な社会問題が潜んでいるということです。ゆくゆくはそんな隠れた社会問題を救い上げ、記事にすることで問題提起できるようになりたいです。そこでも、多角的な視点が生きてくると思います。
- 国際地域学科初の卒業式は、コロナ禍で縮小となりましたが、みんないい笑顔です!
- 1年次にアメリカへ留学。海外へ行くのが初めてだったこともあり、少しだけホームシックに。文化の違いに驚くこともありました。