山田 吉英

世界の見方を変える
手助けをしたい

  • 山田 吉英
  • YAMADA Yoshihide
  • 教育学部 准教授(理科教育)

Profile

1977年、愛知県生まれ。2008年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。2007年、立命館大学理工学部物理駆け込み寺の設立メンバー、講師を務める。2010年、福井大学教育地域科学部講師、2014年、同学部准教授、2016年より同大教育学部准教授となる。2010年より、ふくい理数グランプリアドバイザー、福井県小・中学校「私たちの理科研究」県審査員を務める。
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物理学から“心の仕組みに興味”

私は大学院生の頃、「物理学を通した世界の捉え方をみんなに知ってもらいたい」との思いから、同じような志を持つ仲間たちと、物理学が分からなくて困っている学生を助ける「物理駆け込み寺」を設立しました。ところが、当時の私の教え方ではスッキリ理解ができない学生がいました。いろんな教え方を試みても分かってもらえず、「何が分からないのかが分からない」と八方ふさがりの状態になりました。

この経験から、物理を理解しようとする“心の仕組み” に興味を持ち、今の理科教育という分野に繋がっています。

誤った考えをどうやって修正する?

1970年代頃、多くの学習者はそもそも科学的には誤った考え「誤概念」を持っている、という考え方が広まりました。誤概念を持つ人は、正しく学習した後にもスッキリ納得できない、と引っかかりが残ったままになりがちです。

それは学習者一人ひとりが、それぞれの知識や経験に基づいて世界の物事を見て、考え方や受け止め方が異なるためです。

例えば、「エレベーターが一定の速さで上昇している際、箱を上に引っ張る力と、下に引っ張る力のどちらが大きい?」というクイズを出します。ある学習者は「重力に逆らうので、上に引っ張る力の方が強い」と答えますが、正解は「等しい」です。

このような誤概念に対し、それは誤りだから新しい知識に置き換えよう、という押し付けは学習する人にとっても負担が大きく効果が上がりません。先生と学習者、また学習者同士が話し合い、それぞれが持っているイメージの中から正しい部分を抽出させ、洞察と実験で得た事実をもとに考え方を修正して正しい概念に再構築・発展させていく学習方法を、「断片知識論」といいます。教育現場でこの理論の実践手法を研究しています。

断片知識論の研究を通して児童・生徒が物理学の考え方にある普遍性や論理性を身につけ、世界の見方を変える手助けをしたいと考えています。

It's My Favorite!

仮面ライダーが好きです。日曜朝のお楽しみで、子どもたちと一緒に見ながら楽しんでいます。仮面ライダーは正義のために戦うのではなく、人間の自由のために戦うそうです。教育もそうありたいです。