病理の世界不思議なジャングル?

何かがもつれ、遠くまで広がって透明感さえありますが、どこか気味悪さが・・・。それもそのはず、日本でも患者が2500万人いると言われるあの水虫(白癬(はくせん))の原因、白癬菌の顕微鏡画像。糸のようなものは太さ数マイクロ・メートルの菌そのもので、病理学が専門の法木左近医学部准教授の研究室で撮影しました。

昔に比べ有効な薬も増え、白癬の治療は進歩していますが、いわゆる「水虫」は意外に他の病と見た目が似ていて、誤診すると悪化につながることがあります。きちんと診断するために通常、“生の” 罹患部位から皮膚片を採って顕微鏡で観察し、白癬菌がはびこっているかどうか確かめます。

菌は生きているので、顕微鏡で、のぞくたびに検体を捨てるのが普通ですが、法木准教授はどのような画像だったか多くの医師と共有したり、見比べることができるツールとして固定標本を作製できないか研究しています。また、白癬のなかでもしつこくて、他の病気と紛らわしいことも多くてやっかいな“爪水虫” の確実な診断法の普及も進めています。

この、絡まった糸の向こうに、明るい未来が見えてきませんか。