IoT技術でつなぐ
子どもたちが自信をもてる
社会づくり
- 小越 康宏
- OGOSHI Yasuhiro
- 工学部 准教授(福祉工学、情報工学)
Profile
1968年、新潟県生まれ。2001年、金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程数理情報科学専攻修了。民間企業に勤務の後、1997年、福島女子短期大学助手、1999年、同短大講師、2001年、富山大学工学部知能情報工学科助手、2004年、福井大学工学部知能システム工学科講師、2006年、同大大学院工学研究科知能システム工学専攻講師を経て、2012年、同専攻准教授となる。
研究者詳細ページ
得意・苦手がはっきり発達でこぼこ
人前で発表するとなると、思うように出来ず苦手。誰にでもそんな経験はあるものです。苦手意識が強いと日常生活で支障をきたすようになり、落ち込み、引きこもりがちになってしまいます。逆に、得意なことが発揮でき、人に認められるようになると、自信がついていきます。
発達障害とは得意・不得意の差が大きく、凸凹な状態と表現されることがあります。そのような子どもたちもトレーニングによって苦手を克服し、長所をさらに伸ばせる可能性があると考え、私は子どもの特性にあわせた学習・支援ツールや子どもの日常を記録するクラウドシステムの開発を行っています。
子どもの特性に合わせたシステム
その一つが、「発達障害児者と支援者のための個人特性に応じた個別教育支援ICTシステム」です。国際生活機能分類児童版(ICF–CY)の項目とリンクするように学校や家庭で「宿題ができた」、「授業中に寝なかった」などの様子を本人や教員が☆の数で評価し、その日に気づいたことも残します。この行動記録とIoT機器から収集した行動・学習情報を保護者、教員、専門家の三者間で共有するクラウド型のシステムです。情報共有により密な連携が可能になり、成長や発達の過程を時系列で分析することができます。こうしたデータから朝起きるのが苦手、時間割通りに準備するのが不得意、人の表情を認識することが難しいといった課題を克服するためのトレーニングシステムを提案することもできます。
例えば、表情を読み取ることが苦手な児童には、学校などの場面設定の劇を見せてどのように行動をするのかをクイズ形式にしたVRシステムや不眠に悩む子どもの脳波を測定する枕を用いて眠るタイミングを支援する寝具、注意が欠如しがちな児童には忘れ物防止機能を搭載したランドセルなどの支援システムを開発しました。
子どもの成長は待ったなし。だからこそ、楽しく学習しながら即効性のあるシステムを作りたい。それぞれのシステムと人をつなぐIoT 技術で障害のある子どもたちに自信が生まれる社会づくりに挑戦しています。
※1 保護者、教員、専門家をつなぐ個別教育支援ICTシステム画面
楽器を演奏するのが好きです。趣味と実益を兼ね自動演奏ベースギターを作りました。
BMIで頭に描いたメロディーを奏でることが目標です。