ミクロの世界

走査型電子顕微鏡(SEM)を使って、300倍に拡大して撮影したものです。従来、電流が通りにくい試料は電子顕微鏡で観察することができませんでしたが、産学官連携本部にある装置は、電圧を通常より下げた状態にできるので、わずかな電流を試料に通します。このとき、電子が試料にあたり発生する弱い電気信号が超高感度に検出され、鮮明な画像が得られます。

左の画像は大きな孔(あな)があり、詰まった状態です。それに比べて右側は細かい孔が多く存在しています。

実はこの画像は、普通の「割り箸」です。左が割り箸そのものですが、右が割り箸を炭化したものです。炭化した割り箸は、ご覧の通り、スカスカの状態です。しかし、このミクロンサイズの孔や隙間のある構造を利用して、ものを吸着することができます。例えば、においの分子をたくさん吸着させ、脱臭剤に利用できます。

このようにミクロな画像を詳しく観察することで、これまでにない技術や材料を開発できるようになります。

産学官連携本部では、こうした最先端の分析機器類を地域の企業の方々と共用するための「水曜測定会」という実習講座等を開講し、福井県の産業の発展をともに目指しています。