勝山 俊夫 先生

スマートグラスにイノベーションをIoT 市場への挑戦

  • 工学部 客員教授(光エレクトロニクス)
  • 勝山 俊夫 先生

常識を覆した学生の研究

インターネットでヒト・モノ・コトがつながるIoTの市場規模は、国内だけでも今後10兆円規模になるといわれ、それを担うのは学生のみなさんです。
そんな近未来に向けて「新しい映像の世界」を実現しようと考え、7年前に前期課程の学生と一緒に、光制御技術の超小型化に着手しました。基本は、三原色「赤(R)」「緑(G)」「青(B)」の光ビームを1本にすることですが、集光するためのレンズが必要になり、どうしても装置が大掛かりになってしまいます。しかし、当時の学生は、この小型化に取り組み、地道に試行錯誤を繰り返して、レンズや鏡なしで、これらの光ビームを1本にする技術を見出したのです。

 

小型化で広がる可能性

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光を導く「導波路」をシリコン基板上に作り、緑は直線路にし、青と赤の導波路は途中で緑の導波路に接近させてばらばらだった光ビームを1本にまとめることができました。この技術をもとに、13×4.5× 4.5㎜の大きさの超小型光学デバイスを実現することができ、現在は米粒大の大きさまで小さくすることに取り組んでいます。
眼鏡のつるに埋め込んでも、違和感なく、重くもなく、スマートグラスへの応用はすぐに思いつきますが、従来のスマートグラスのように、目を凝らして画面を見るものではなく、私たちは、網膜へ直接映像を書き込み、自然に映像が見られるようにすることを目指してい
ます。多くの人が「目に影響はないか」と不安になりますが、このデバイスの光は微弱なため問題ないと考えています。

基礎技術が生む新たな産業革命

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このスマートグラスの実用化に向けて、眼鏡の産地である鯖江市などの企業と共同プロジェクト※を進めています。弱視の方の視力補助、医療や産業現場での作業を詳細にガイドするなど、その用途は広大です。この基礎技術に磨きをかけ、グローバル市場の開拓を狙っています。
「第4次産業革命」のなかでこそ、技術を組み合わせ、クリエイティビティーが発揮されるときです。ぜひ、学生のみなさんもチャレンジしてください。
 
※文部科学省平成29年度「地域イノベーション・エコシステム事業」に採択され、日本原子力開発機構と福井県と共同で新たな産業創出に挑戦しています。

12p-4今ハマっていること★

私の奥さんが100円ショップで買った観葉植物は、どんどん成長しています。ただ、天井に近づくと、なぜかそれ以上伸びず、根元に子供の株ができてきました。これからどうなるか見守っています。