心と向き合い自己治癒力を活性化
- 教育学部(臨床心理学) 准教授
- 廣澤 愛子 先生
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人間の心のすごさに深く感動
1995年1月17日の阪神・淡路大震災で被災した経験が、私の専門分野の決定に大きな影響を与えました。ある日突然、当たり前の日常が非日常になる体験をすると、その出来事がトラウマとして残ることがあります。自らの経験を含め、過去のつらい体験をどのように乗り越えるかに興味を持ち、臨床心理学の分野に進むことを決めました。
心に病や傷を持った人への心理療法を通した支援をしながら、パーソナリティ(人格)の研究をしています。心理療法でよく使用する手法は、「箱庭療法」です。心理療法の対象者に、動物や木、人や家などのミニチュアを砂箱の中に並べてもらう。ただそれだけですが、心の表現につながります。何度も試行錯誤しながら箱庭を作ることで、心の調整と再構築が行われ、心の奥底にあったものが表れてきます。
母親から虐待を受け、生きることの無意味さしか感じられなかった子が、過去の体験に自ら意味づけを行い、変わっていくのを目にしたとき、人間の自己治癒力に深く感動しました。臨床を通して感じるのは、人は心の底から実感しないと変われないということ。心の自己治癒力がどういう環境で最も活性化するか、また、その環境をどう整えればよいかについて常々考えています。
学校現場の課題に対するために
学校現場では、1クラスに2人程度の子ども(約6.5%)が発達障害の可能性があるといわれ、特別な教育的支援が課題となっています。そのため本学では、発達障害などが原因で社会適応が困難な子どもの支援に力を入れています。
教育学部の学生たちとともに運営している「楽集クラブ3・9・1」では、社会的自立につながる基礎力や実践力を育むことを目的にしています。成長に偏りがあり、人付き合いが苦手な子や、学校に居場所のない子が、学生と一緒に活動することで、自分の存在を確かめ、ありのままの自分を出せる場となるよう努めています。教員を目指す学生が、将来、学校現場での課題に向き合うための学びを得る場にもなっています。
将来的には、発達障害を持つ人の就労支援やともに働く周りの人への支援について取り組み、「共生」とはどういうことかを突き詰めたいと考えています。
楽しみながら主体的な4年間に
学生の皆さんと話していると、「成功するためにはすごく勉強しないといけない」「楽しみすぎてはいけない」と、少しストイックに考える人が多いように感じます。もっと楽に、ポジティブに考え、自分がより楽しめる方法でやっていいと思います。なんでも頑張るのではなく、自分の好きなことにエネルギーを注ぐ、また、自分が楽しいと感じることを見つけ、それを追いかける。そんな主体性を持った4年間にしてほしいと思います。
今ハマっていること★
キャンプやBBQなどアウトドアにハマっています。ホットケーキミックスを使ってバウムクーヘンを作ったりもします。