白血病患者さんから学び今後に活かす研究を
- 医学部内科学(1)領域(血液・腫瘍内科学、臨床薬理学)
- 山内 高弘先生
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死に至ることも多い血液のがん「白血病」
白血病は、テレビドラマなどで取り上げられたり、芸能人の方が骨髄移植を受けるなど、話題になったこともあり、聞いたことがある人は多いと思います。白血病は血液のがんで、何かのきっかけで遺伝子が異常を起こし、骨髄で血液細胞である赤血球、血小板、白血球が作られる過程で、がん化します。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し、正常な血液細胞が減少することで、貧血、免疫力の低下、出血などの症状が現れます。発症の平均年齢は60歳くらいで、発症年齢が65歳以下では、5年生存率が4.5割、65歳以上になると1.2割と完治が難しい病気です。
変化を起こす遺伝子の場所によって多くの種類があり、まだ解明されていない遺伝子変化も多数存在すると思われます。さらに病気の進行パターンや症状から「急性」と「慢性」に分けられます。治療には、薬物を用いる化学療法と移植療法があります。まずは、抗がん薬を用いてがん細胞を減らし、正常な血液細胞を増やして、急性症状を抑えることを目標にします。
現場で得た経験から病気のメカニズムに迫る
研究では、白血病の患者さんに化学療法を行う際の薬の種類や投与量、期間、回数などをがん細胞内での薬理作用から検討します。遺伝子の異常原因がはっきりしている白血病では、分子標的薬と呼ばれる遺伝子に直接働きかける薬を使用し、はっきりしないものについては、薬を変えたり、いくつかの薬を組み合わせたりして、効果的な投与法を探します。
がんは、患者数も非常に多いので、製薬会社で様々な抗がん薬が作られています。私は白血病診療ガイドライン作成にも携わっていますので、新薬の治験を依頼されることも多く、患者さんのがん細胞の中で働く薬の濃度を測定し、薬の作用機序を調べています。効果が出ない場合には、耐性をどう克服するか、効果のあった薬については、なぜ効いたのか検証します。薬の作用から原因となる遺伝子の変異がどのように起こるのか突き止め、白血病のメカニズムの解明につなげたいと思っています。
患者さんと向き合いながら研究を
私は福井医科大学の出身で、5年生の臨床実習中に、前教授で副学長の上田孝典先生の御指導に感銘を受け、第一内科に入局しました。外来では、様々な病気の患者さんを診ますが、その中にほんの一握りの重症患者さんがいます。そのような患者さんを見つけ出し、少しでも普段に近い生活に戻れるよう治療、サポートします。患者さんと向き合いながら、よりよい治療に向けた研究を行うことは非常にやりがいがある仕事なのではないかと思います。ぜひ学生のみなさんにもチャレンジしてほしいと思います。
今ハマっていること★
膨大な仕事のぬかるみにハマッています。学生時代は、開学当初からあった伝統空手道部と合唱部に所属し、現在はその両方の顧問を仰せつかっています。最近医学部のクラブ活動は大変盛んです。部活を通じて母校愛を育み、卒業後本学に残る学生が増えてくれればと願っています