福井大学子どものこころの発達研究センターの講演会「子どものこころを探る」が、11月26日に福井市のフェニックス・プラザで開かれました。平成23年から同センターが、市民に子どものこころに目を向けてもらおうと毎年、講演会を開催しています。今年は子どものこころを探るために重要な「発達障がい」と「不登校」がテーマ。教育関係者・医療関係者および地域住民ら約200名の参加で満席となり、関心の高さをうかがわせました。
子どもたちのこころを探り、どうしてそのようになるのか、何に困っているのか、蓄積されたデータを科学的に解明し、具体的な支援策について、教育・臨床の現場の専門家3氏が講演しました。まず国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 石飛 信室長が「自閉スペクトラム症の人に対する今日から出来る合理的配慮~障がい特性の理解を通して~」について講演。次に、三重大学教育学部 松浦 直己教授が「思春期のこころ~近年の少年非行、不登校問題を中心に~」について、最後に子どもの発達科学研究所 和久田 学主席研究員が「不登校をどう考えるべきか~データと先行研究から科学的に考察する~」について話しました。和久田研究員は、「ひとりの症例だけに注力するのではなく、子ども一人ひとりから浮き彫りになった症例を集め、共通する要因から療育や支援を明確にすることが不登校などを未然に予防することにつながる」と、科学的考察の必要性を訴えました。
参加者との質疑応答もあり、「具体的な支援の方法とそれを裏付ける理論がとても分かりやすかった」、「不登校の問題には学校風土への取り組みが必要と分かった」などの感想が聞かれました。